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【勝手に読書感想部】素敵な日本人:東野圭吾

東野圭吾先生の作品を、すごくたくさん読んでいるわけではないけど、
自分の中で勝手に以下の3パターンに分類されてます。

  1. ラプラスの魔女とかガリレオシリーズみたいな、ちょっと頭使う系

  2. クスノキの番人系のような、どんでん返し有りな心温まる系

  3. 白夜行みたいな、人間ドラマ強めミステリー

(すごく詳しいわけではないので、おかしかったらご教示くださいね)
今回読んだ「素敵な日本人」は2のグループのお話が多かったかなと思ってます。
東野先生らしい、家族の絆・人と人との心の繋がりを感じさせるような・・・。
そんな中にも王道なミステリーも収録されてて、どのお話も読みやすくて、個人的にはすごく好きな短編集でした。

[ネタバレと感想]

*以下ネタバレ含みますので、まだ読まれていな方はご注意ください。

どれも好きだったけど、以下は特に印象に残った作品についての感想です。

「正月の決意」

途中までは、何この話?とモヤモヤが蓄積されていきました。
主人公の達之の警察に対するイライラが伝染して・・・笑
ずっと傍らで黙っていた康代が、突然鋭い推理力を披露して、スカッとして終わる・・・かと思ったら最後どんでん返しいただきましたね。
自分勝手な警察、浅はかな町長、馬鹿な宮司。
絶望的な今生を生き抜くきっかけを、夫婦に与えてくれたのが、こんなくだらない事件だった・・・ていうオチがなんともホッコリして心が温まりました。

「十年目のバレンタインデー」

ラブストーリーかと思いながら読んでいたら、ゴリゴリのミステリーでした。しかも結構わたし好みの。
短編は前情報無しで読めることが多いから嬉しいですね!
主人公が極悪系クズだってことが徐々に明らかになっていく中で、じわじわ追い詰められていく。
10年ぶりに元恋人と復縁できるかもって有頂天になっていたところから、一気に叩き落される感じがたまらなく爽快でした。
悪いことはできませんね。

「壊れた時計」

昔、大好きだった「古畑任三郎」シリーズの堺正章さんの会で、
「世の中には当てにしてはいけないものが3つある。年寄りの自慢話と通信販売の売り文句、そして、犯行現場の壊れた時計。」 というセリフがありました。
純粋だった幼少期の私は、この3点だけは絶対に信じないようにしようと固く決意したものです。
多分この主人公も、古畑見てたんじゃないかな?って思うくらい「壊れた時計」に執心していました。
気にしすぎるあまり、わざわざ時計を直して事件現場に戻す。それが犯人逮捕の決め手となる。
よけいな小細工はするなって言われてたのが、盛大なフラグになっていてしまいましたね。

「クリスマスミステリ」

殺したはずの相手が生きて目の前に現れるっていう展開も、「古畑任三郎」とか「刑事コロンボ」っぽくて好きでした。
その時の犯人の驚きとか困惑の心理描写が巧みでした。
「ツリーに十字架を飾るのはタブー」というセリフの意味は「十字架が死を連想させるから」だと言っていたけど、
「十字架」▶「クロス」▶「黒須」
イブの日に黒須(クロス)との約束を入れてしまったことが、弥生の死に繋がる結果となってしまったのが皮肉な感じがしました。
それにしても・・・
本当は殺してないけど、パーティの前に殺そうとした。
被害者が亡くなる直前に彼女と会っていた。
パーティの前に被害社宅を訪れたけど、殺すつもりで訪れたからその時のアリバイを作ってしまっていた。
自分を殺そうとした恋人に、命がけで復習を成し遂げた弥生。
黒須は全部信じてもらえたとしても、一体どんな罪で裁かれるのだろう?

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