富士山の美人神様 コノハナサクヤヒメ〜雲見と古事記〜
雲見から見る富士山。その姿の美しさたるや。こりゃ〜神様がいるって人は信じるだろうな〜と。
富士山頂に鎮座する神様がコノハナサクヤヒメ。雲見の烏帽子山にある浅間神社のイワナガヒメの妹です。美人=か弱い?と勝手に思ってましたが調べれば調べるほど女性としてかなりたくましい。私なりにまとめてみました。
古事記に出てくるコノハナサクヤヒメのお話
アマテラスの孫ニニギノミコト(ニニギ)に惚れられ嫁いだコノハナサクヤヒメ。一晩の関係で子を授かります。しかし超失礼なニニギは、「一回で子供できるわけないじゃーん、それ、俺(天つ神)じゃなくて、地上の誰か(国つ神)との子供じゃね?」と。こんなん言われたら誰でも怒り心頭。「これがあんたの子(天つ神の子)なら、火の中で産んでも無事でしょうよ、証明してやる!」と。強い。
火をつけた産屋の中で見事3人の子を生み、ニニギの子であることを証明しました。
コノハナサクヤヒメは何の神様?
神様のご利益の背景には、なんでその神様になったのか、上記のような古事記初め様々なエピソードがちらほらと。
└安産/子育て
古事記のエピソード、火中でのタフな環境での出産の成功から、安産や子育ての神様として慕われています。納得。
└火除け/水徳の神
火中での出産という強烈なエピソードから、火にまつわるイメージが強いコノハナサクヤヒメ。富士山噴火を鎮めるため救いを求めたのも納得。見事富士山噴火を鎮め、火除けや水の神として称えられるように。(富士本宮浅間大社)
└酒の神様
出産を喜んだ父オオヤマツミが、日本初の酒を作り天に献上したため、そのきっかけを作ったコノハナサクヤヒメも酒の神として祀られているとか。また、このお酒が甘酒の原点であり、出産を祝い父と作ったという説では、美人女神のコノハナサクヤヒメの口噛みによって作られた祝酒が日本最初のお酒である、生まれた子らはこの甘酒を飲んで育ったとも、お酒にまつわるエピソードが多いです。(宮崎の神々)
└桜の神様
コノハナサクヤヒメは漢字で書くと木花之佐久夜毘売命/木花咲耶姫。桜にまつわるお話がいくつか見つかりました。
①長寿の姉と対照的に儚い命を象徴する妹コノハナサクヤヒメ。出産ののち命絶えたという言い伝えもあり、その儚さを桜に見立てたられた。
② 数多くある桜の語源の一つ。桜の旧名を木花(コノハナ)と書き、サクヤが変化しサクラになったのではないかと言われている。(ことばの玉手箱)
③ コノハナサクヤヒメが富士山頂上から桜の種をまいて全国へ広まった伝説。(沼津観光)
└農業・漁業・航海の神様
この由縁や神話がいまいちはっきりと分からなかったのですが、父であるオオヤマツミは山の神でもあり漁師だったとも言われていること、また、産んだ子供が海幸と山幸と言う海と山の神様だったことから、想像できるのかなと思いました。また、お酒造りに欠かせない稲作。夫のニニギが稲作を広めるために天つ神から降りてきてること、酒造りの米を栽培したことからも農業との結びつきは考えられそうですね。推測です。
└富士山の神様
富士本宮浅間大社で主宰神として祀られているコノハナサクヤヒメ。上記で説明したように、火山噴火を鎮めたことから祀られていますが、雲見での言い伝えを考えるともっともっと古くから富士山にいると考えられていたと思います。面白いと思った説が、もともとは父であり山の神である、イザナギとイザナミの神生みの子オオヤマツミが住んでいて、娘に譲ったという説。山の神であれば最高峰富士山に住んでいてもおかしくない。実際、富士本宮浅間大社の相殿神は父オオヤマツミと夫ニニギノミコト。一緒に祀られています。
まとめ
全国に約1300あると言われる浅間神社の大半で祀られているコノハナサクヤヒメ。様々なご利益の背景にはそれぞれの言い伝えや伝説がありとても面白いと思いました。雲見から拝める富士山、神話を知るとお願いする内容も具体化しそうです。