【日記】美術館はしご・今日の読書
美術館はしご
今日は根津美術館「遊びの美」と太田記念美術館「浮世絵と中国」を観に行った。
どちらも表参道周りにある美術館だったので、徒歩で行き来できるのがとても楽でよかった。この2件をはしごするのは今後定番にしても良いかもしれない。
根津美術館「遊びの美」
江戸期に作られた図屏風や絵巻が多数出展されており、たまに平安・室町期のものもあった。貴族文化や武家文化をモチーフにした作品が多く、屏風を扱えるような江戸時代の貴族階級の人々が古典や前時代の文化を慈しんでいたことがよくわかる。
個人的には、《洛中洛外図屏風》などの市井の人々の様子を描いた図屏風に面白みを感じることが多く、一枚に多くの場面を描く日本絵画特有の構図を観察するのが楽しかった。《扇面歌意画巻》も、江戸期に和歌が庶民にも浸透していた様子が窺える史料だったので興味深かった。
「遊びの美」の他にも仏教美術・中国殷周時代の青銅器・山水画・茶器を取り扱ったテーマ展示があり見応え抜群だった。根津美術館の収蔵品の豊かさに驚かされた、また何度も伺いたい満足度の高い展示だった…。
太田記念美術館「浮世絵と中国」
こちらも主に江戸期の浮世絵(主に木版画)を扱っており、図屏風という貴族の調度品と木版画という庶民の娯楽品を同日に見比べられたのは良かったと思う。明治20年頃までの浮世絵も少し展示されており、明治維新以降の浮世絵の表現の変化を観察するのも面白かった。
目録がなかったので各作品の詳細を持ち帰れなかったのが残念なのだけども、葛飾北斎や歌川家の作品を多数観られたのは本当に良かった!貴族ものと民間もので随分表現方法や扱うテーマが違うもんだなと感心したけど、その傾向は現代でもさほど変わらないことに気づき、江戸期の人々とそう変わらぬ価値観を今の我々も共有できていることにほのかな嬉しみを感じたのであった。
そのほか
今月行った美術館はこれで6件。来週は「兵馬俑と古代中国」と「大竹伸朗展」に行く予定で、それで今月の美術館巡りは終わり。とても充実した月だった!月報でまた改めて振り返りたい。
今日の読書
『日本人にとって美しさとは何か』
昨日から読み始めた本の続き。今日は頭から通読して、「言葉とイメージ 日本人の美意識」という章を半分読んだ。30ページくらい。
10世紀に生まれた『古今和歌集』は私たちが今でも使っている仮名文字で書かれているが、これは世界的に見て相当珍しいことらしい。ヨーロッパ諸国が中世ごろまではラテン語を学問や文学に用いていたため、現代人はラテン語が使われなくなる14~15世紀以降の詩文しか原文では読めないのだという。
ダンテが偉大だったのは、当時口語でしかなかったイタリア語を使って優れた詩を書き、ラテン語でなくとも良い文学を生み出せることを証明したかららしい。面白い。
原研哉氏が言っていたことだけど、日本は一つの王朝が随分長く続いている国であり、伝統的で格式高いというイメージのあるヨーロッパ諸国よりも実は国家として長い歴史を持っている事実がある。その辺りを現代の私たちが認識できないのは、やっぱり自国よりも他国からやってきた文化に触れる機会の方が圧倒的に多いからだと思う。触れなきゃ存在すら認知できない。
日本のほうが海外より優れているのだと言いたいのではなく、海外の国々と豊かな文化交流(日本でストリートダンスやコンテンポラリーダンスを楽しむ行為ひとつとっても立派な文化交流であるはず)をするために、日本と海外の国の文化の違いを明確に知っておきたいだけなんだ。私はそういう楽しみ方でダンスと付き合っていきたいし、猛烈に勉強しないと辿り着けない領域で将来仕事ができるようになりたい。そう思う。