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喉元過ぎれば熱さもなんとか

喉元過ぎれば熱さを忘れる。
例えば緑茶とか、例えばココアとか、例えば私のお母さんとか。

とっても理不尽な事で突然怒られることがある
うちでは、やかんなんて使わないけど、やかんが「ピー!!!!」と音を出して熱を出す様に、突然お母さんの火山が噴火する。
確かに自分に非がないと言えば嘘だけど、今回はあまりにも理不尽すぎる。

ちょうど高校生だし、反抗期と重なる今。
言い返すことも考えた。
何を言うか考えて、やめた。
言ったって相手が冷静に取り持ってくれる訳でもなく、更に怒らせるだけ。
「火に油を注ぐ」
とはまさにこの事。

私は偉いので、お母さんの火を静かに受け止め油の口に蓋をします。

ちょうどお父さんが帰ってきて、私に冷たい水をかけて火傷しないようにしてくれたり、お母さんに冷たい水をかけて鎮火してくれるかな、なんて期待した。

お父さんはお母さんに適当に相槌して、火に薪をくべるだけだった。
火が、長く燃えるように。

そうだよね、薪をくべればお父さんはお母さんの味方で、お母さんの敵になることはないから。

夜ご飯なんてお母さんの横で呑気に食べてられないから、3口食べてささっと片付けた。
また何か火の粉が飛んできたけれど、気にしないフリをした。

喉元過ぎれば熱さを忘れる。
お母さんもきっと、明日になれば今の怒りなんて忘れてるだろう。
今は、怒りを食べていて、怒りがお母さんの口の中で熱を発してて、運悪くそれが私に当たってるだけだから。


私の予想通りお母さんの火は翌日には収まっていた。
私もようやくお母さんの火を飲み込みきれた。

喉元過ぎれば熱さを忘れる
確かに私の口の中はもう、熱くないけれど
火傷がじんじんと傷んでいた。


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