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君が本当に好きだった

カラオケで歌いたい曲だけ増えて、歌える曲は一向に増えない。
君に向けたラブソングは、失恋ソングに変わった。
君のよく歌っていた曲、私の好きな曲。君といたカラオケルームは、もう聞こえないくらい遠いところへ行ってしまった。最初で最後だったフリータイムでのカラオケ、君は私の横で「歌い疲れた」と眠ってた。愛おしかった寝顔を、次は朝目覚めた時に横で見たかったものです。

君の声は、一定で。変わらない声色で歌っているそれらも私は好きでした。君の歌声は私と違って音程バーにピッタリハマって。私もそのくらいハマることが出来たらいいのにと思った。音程バーにも、君にも。

でも、ズレていくのは私の方。
音程バーも君も何かが変わったわけじゃなかった。あのカラオケルームから。

「クリスマス、プロジェクションマッピング見に行かない?」
「いいね 」
未来の予定を立てれば、それまで一緒に居られるような、そんな気すらしますけど。全くそんなことは無く。予定を立てたはずのクリスマスを目前に君への思いはどこかに飛んで行ってしまいました。
あの部屋でまだ夏なのにクリスマスソングを歌っていた、クリスマスが楽しみだった私と何が違うんだろう。

君を当てはめた曲を歌えなくなってしまったのが、君への想いがどっかへ消えた今1番の悩みです。君を当て嵌めたからその曲が好きなのか。好きな曲だから君に当て嵌めたのか。
「少し背の高いあなたの耳に寄せたおでこ
甘い匂いに誘われた私はカブトムシ」
私よりちょっぴり背が高い君がハグしてくれる時間が恥ずかしく照れもしましたが、大好きでした。でも、君の1番好きなところは香りだったような、気もします。もちろん性格も好きだったよ。君を当て嵌めたこの曲を、私は今後どうやって聞けばいいのかな。どうやって歌えばいいのかな。
カラオケの点数で全国平均を超えられるのはこの曲だけなのに。

私ね、君が女の子だったら凄くいい友達になれてたと思うんだ。
女の子だったらこんなに
君を知ることも
君に触れることも
君を好きになることも
君を傷つけることも
君で傷つくことも
なかったと思うけど。
でも、君が女の子だったらずっと一緒に居られた…と思うよ。多分ね。

好きだったよ。今も好きだよ。
好きの意味はあの時から何か違うと思うけど。
あえてそれは言わないね。
さようなら…言いかけてやめた。

ありがとう。

 

またね。



引用
aiko 「カブトムシ」歌詞


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