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屋号にケチつけられて、決意を新たにした日
私は、にてるかもしれないにがおえ屋さん poi poi という屋号で、似顔絵屋としてイベント出店をしています。
似顔絵屋をすることになった時、勢いで、やります!と言ったものの、似顔絵=似てなくてはいけないと思っていたので、似せて描くということにかなりプレッシャーを感じていました。
でも、どんな屋号にしようか?と考えた時に、
似顔絵=似てないといけないって、誰が決めたん?
と、ふと思ったんです。
別に、似てない似顔絵屋があってもいいんじゃない?
似てるかどうかよりも、その人らしさ、その人から溢れ出る愛らしさなんかをイラストに込められたらいいなぁ。
そう思った時に、私の大好きなヨシタケシンスケさんの展覧会「ヨシタケシンスケ展かもしれない」というフレーズが頭に浮かんできて。
それだ!かもしれないでいい!
似てるかもしれないし、似てないかもしれない。
でも、あなたらしさ、あなたっぽさを詰め込むよ。
あー、ぽい、ぽい!って感じ。
よし、これでいこう!
で、
にてるかもしれないにがおえ屋さん poi poi
に、決めました。
この屋号は私自身も気に入ってるし、割とウケた。
長いけど、一発で覚えてもらえる。
自己紹介でも、くすりとひと笑い起きて、話しかけにきてもらいやすくなった。
でも、先日。
出店をしていた時、大人の親子らしき女性二人組が私のブース前を通り過ぎました。
その時、母親らしき方が、
「にてるかもしれない…何それ?意味わからん」
と、吐き捨てていったのです。
きっと、私には聞こえないボリュームの声でおっしゃったおつもりだったであろうと思います。
でもね、そういうのって、聞こえちゃうのよ。
この耳、よくできてるよね。
「こんにちは〜」って、笑顔で見送ったけど、
心で泣いたね。
確かに、意味わからんよね。
似顔絵描いてもらうなら、似ててほしいよね。
似てるかもしれないとか、弱気なふざけたこと言ってる奴にお金払って描いてもらいたくないよね。
うんうん、わかる。
でも、そこで思った。
私は、そもそも、似てるかどうかで勝負している似顔絵屋ではない。
似顔絵を通して、あなたという存在が素敵で愛らしいということを伝えたい。
似顔絵をきっかけに、生まれる会話を楽しんでもらいたい。
「似てる〜!」ということよりも、くすりと、ほんとにくすりと、ふわっと思わず溢れちゃったレベルの笑顔が生まれることに全力を注いでいる。
「心にちょっぴり、ユーモアを」そんなコンセプトも大切にしています。
だから、「にてるかもしれない」というフレーズにピンと来ない方を私はきっと満足させられないだろうと思うのです。
にてるかもしれないにがおえ屋さん poi poiという屋号そのものからして受け入れてくださる方に、似顔絵を届けられたらそれでいいなと。
すんごく特徴を掴んで、写真レベルの絵が欲しい人はそういう絵を描く人のところにいってもらえばいい。
似顔絵師と呼ばれて、似顔絵世界大会とかに出場するようななんだかすんごいレベルの人だって世の中にはいるわけで。
私は私の世界観で、それを愛してもらえる人たちに出会っていければそれで幸せだと思いました。
似てるかもしれないなんて、意味わからんと言われても、そんなの気にする必要ない。
分かってもらえる人に、全力で応えるのみ。
初心を思い出し、決意を新たにしたのでありました。
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「牛が大好きなんですけど、近くまで行って抱きついて写真撮るのも難しいから、家族と牛を描いてもらえませんか?」
というリクエストに応えるのが、最高に楽しかった!!
現実では叶えられないことも、絵なら叶う…!
想像も妄想も形にできる。絵ってやっぱり楽しい。