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自分の意見を持てません。考えが思い浮かびません。訓練方法があれば教えてください。

 作文で反論の訓練をしましょう。それで自分の意見をもてるようになります。意見とは異見であり、異見であれば思いつきやすいからです。


1.意見とは異見である

 意見というのは全て、誰かに対する反論になります。例えば、ネットやSNSを開くと様々な意見がアップされていますよね。スマホを取り出してX、Yahoo!、noteの記事や投稿をいくつかピックアップしてみましょう。以下のような感じです。

(ア)ドカ雪の金閣寺が絶景すぎた。
(イ)風邪をひいて絶不調…
(ウ)ランチの時にコンビニで軽くおにぎりと野菜買うだけで1,000円近くになるの悲劇過ぎるのよ…

X

(ア)怒号 トー横の一斉補導で男と攻防
(イ)北朝鮮兵30人が死傷 ウクライナ
(ウ)企業のカスハラ対策、義務化へ

Yahoo!

(ア)聞き流しで英語は上達しない。
(イ)「ルックバック」はとても良い作品だって語りたい。
(ウ)フランスの国語教育を学んだら、組織に必要なものがわかった話

note

 意見というのは、常に誰かに向けられたものであり、誰にも向けられていない意見というものはありません。これらの記事や投稿はそれぞれ、以下のような「相手」を念頭に置き、その相手に向けた意見となっています。

(ア)「ドカ雪の金閣寺が絶景すぎる」ことに気づいていない人
(イ)「風邪を引いて絶不調」な人がいることを認識していない人
(ウ)「ランチの時にコンビニで軽くおにぎりと野菜買うだけで1,000円近くになる」ことに気づいていない人

X

(ア)「トー横の一斉補導で男と攻防」している事を知らない人
(イ)「ウクライナで北朝鮮兵30人が死傷」していることを知らない人
(ウ)「企業のカスハラ対策が義務化された」ことを知らない人

Yahoo!

(ア)「聞き流しで英語は上達しない」なんて考えたことがない人
(イ)「ルックバックはとても良い作品だ」と思っていない人
(ウ)「フランスの国語教育を学んだら、組織に必要なものがわかった」なんて聞いたことがない人

note

 例えばXの「ドカ雪の金閣寺が絶景すぎた。」という投稿。これは、「ドカ雪の金閣寺が絶景すぎる」ことに気づいていない人がいると仮定して、その上で意見として成り立つのです。それらの人がいる事を念頭に置いた投稿です。もしも日本国民全員が「ドカ雪の金閣寺が絶景すぎる」事を知っているのなら、このような投稿をしようとは誰も思わなかったでしょう。
 例えばYahoo!の「怒号 トー横の一斉補導で男と攻防」というニュース。これは、「トー横の一斉補導で男と攻防」している事を知らない人がいると仮定して、その上で意見として成り立つのです。それらの人がいる事を念頭に置いた投稿です。もしも日本国民全員が「トー横の一斉補導で男と攻防」している事を知っているのなら、このような意見はニュースとして成り立たないし、誰もわざわざアップしようとは思わなかったでしょう。
 例えばnoteの「聞き流しで英語は上達しない」というタイトルの記事。これは、多くの人が「英語上達のために、ただ英語を聞き流している」からタイトルとして成り立つのです(少なくとも投稿者はそう仮定しているはず)。それらの人がいる事を念頭に置いた投稿です。もしも日本国民全員が「聞き流しで英語は上達しない」事をわかっていたら、このようなタイトルの記事を誰も作ろうとは思わなかったでしょう。

 これらネットの記事やSNSの投稿からわかるように、意見というのは、自分とは違う意見をもっている人を念頭に置き、その上で意見を言うものなのです。たとえ意見が特定の誰かではなく、不特定多数に向けて投稿されたものであっても。意見とは本質的に、他人と異なる考えを述べる「反論」の性質を備えているのです。

2.異見であれば思いつきやすい

 意見を言うのは難しくても、誰かに対する反論であればハードルは下がるでしょう。というのも、誰かの意見に対して「それは違う」とか「私はそうは思わない」と思うのは自然な事ですから。ネットやSNSでたくさんの記事や投稿などが溢れている現代において、自分とは違う意見(異見)を探すのは容易なはず。
 「これらの記事や投稿に対して反論しよう」というのが、私の訓練方法です。ただし、反論記事や投稿を実際にアップすると、相手をはじめアナタとは違う意見をもった人たちを不快にさせてトラブルに発展する可能性もあります。なので、特に初めはオフラインで反論するのをお勧めします。紙に書いたり、スマホで打っても投稿せず、ただ反論を作るのです。

3.反論とは

 反「論」というからには、相手の意見とは別の意見を、理由や根拠で支えるのが反論です。簡単でも良いので理由や根拠を示すようにする。そうすれば、ただの「意見を思いつく」訓練にとどまらず、「論理的な意見を考える」訓練になりますから。

 それから、反論は主張型反論が簡単です。
 反論には二種類あり、主張型反論と論証型反論です。
 主張型反論とは相手とは別の意見を述べること。例えば、「このリンゴは美味しい。青森県産だしね」という意見に対して「私はミカンの方が美味しい。ミカンの甘さの方が好き」とか。「英語の点数アップはヒアリングが鍵になる。差はヒアリングに現れるから」という意見に対して「語彙を覚える方が点数アップになるよ。語彙を知らなきゃ英語は何も始まらない」とか。相手の意見とは別の意見を述べるのが主張型反論です。
 それに対して論証型反論は、相手の論証を切り崩します。例えば「このリンゴは美味しい。青森県産だしね」に対して「青森県産だからと言ってリンゴが美味しいとは限らない。最近は青森県産以外のリンゴの質が上がっているしね。長野県産とか。相対的に青森県産リンゴの質が落ちている」とか。「英語の点数アップはヒアリングが鍵になる。差はヒアリングに現れるから」に対して「差はヒアリングに現れるというのは間違ってる。塾の先生が『ヒアリングよりも単語力の差の方が大きい』って言ってたよ」とか。相手の主張を支える理由や根拠を攻撃し、相手の意見が成り立たないことを主張するのが論証型反論です。

 自分の意見を言うことの訓練が目的であれば、主張型反論の練習が良いでしょう。というのも、主張型反論は論証型反論よりもハードルが低いので。論証型反論は相手の意見に理由や根拠がないとできませんが、主張型反論は単に別の意見を言うだけなので、相手の意見に理由や根拠がなくてもできます。ネットやSNSで見つけた記事や投稿に対して、別の意見をじゃんじゃん出していきましょう。
 ただし、論理的に面白くハイになれるのは主張型反論よりも論証型反論です。相手の論理を切り崩すと言う知的作業が伴うので、理屈力が試されます。

 論証型反論のやり方は、別の機会に詳しく説明します。また、私の作文講座を受講していただいても詳しく説明します。

4.まとめ・終わり

 このように、意見とは全て誰かに対する異見であり、別の意見を言う反論であれば、何か意見を言おうと肩肘張らなくとも自然にできるものです。誰かに対する反論を、意見を思いつくための訓練としてお勧めです。ハードルが低く、尚且つ本質を備えていますので。ネットやSNSで見つけた記事や投稿に対して、オフラインで反論を作りましょう。論証型反論の方が面白いですが、相手に理由や根拠がなくてもできる主張型反論で、自分の意見を言う訓練を重ねましょう。




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