【第1話】村山美澄、もう一人の私との共同生活を始める~もう一人の私との出会い~
気分が晴れない村山美澄
酔っぱらってうるさいサラリーマンや、自惚れの絶頂にある女子大生の声が呼応する道玄坂。美澄は渋谷駅に向かって急ぐ。1日中履いているパンプスの中で浮腫んだ足が痛む。
誰にも話しかける隙を与えない程真っ直ぐに線を引いた唇と、絶妙な角度で明後日の方向を見つめる目線。
「早く家に帰って納豆ご飯が食べたい」
信号待ちをしている人混みなど目をくれることもなく急いで地下鉄の階段を降りた。
半蔵門線はいつもの帰宅ラッシュ。もちろん座ることも出来ず、痛む足に神経が通っ