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GitLabに学ぶ 世界最先端のリモート組織のつくりかた

著者:千田和央

要約

#究極のリモート集団から学ぶ、効率的なリモート組織

この本は、GitLab社が生み出した効率的なリモート組織を作るノウハウを紹介しています

世界中に2000人以上の従業員を抱えながら、オフィスを持たないGitLab社。いかにして従業員をまとめ、成果を上げることができたのでしょうか。
リモートワークで発生する問題の解決法やカルチャー醸成の仕方など、効率的な組織作りに役立つ情報を、リモート業務に留まらず解説しています。

#リモート組織のメリット

リモート組織を作るメリットは、主に3つあります。
①エンゲージメントを高められる、②優秀な人を早く採用できる、③成果にこだわる風土が醸成されることです。

リモートワークは、多様なメンバーのパフォーマンスを最大限に発揮させることができます。
成果を計測することでサボれないシステムが出来上がるからです。

また、コスト(オフィス賃料や時間)を削減できます。
例えば、議事録やナレッジを従業員全員が閲覧可能な状態にしておくことで、同じ質問を繰り返し聞かれることなく解決できる効率的な環境を作ることができます。

#リモート組織の作り方とよくある問題の解決法

良いリモート組織を作るべく、8つの行動指標が紹介されています。

  1. リモート織に関する認識を改め明示する

  2. リモート責任者を明示する

  3. ハンドブックを制定する

  4. コミュニケーションガイドラインを明示する

  5. ツールの種類を最低限に抑える

  6. 経営陣のデフォルトをリモートにする

  7. リモート作業環境を整備する

  8. インフォーマルコミュニケーションを設計する

(インフォーマルコミュニケーションとは業務とは関係ないコミュニケーションのことです。雑談や趣味の共有を通し組織に馴染むことで、業務パフォーマンスが上がるのです。)

上記の行動指標を実践しても、リモート組織を作る上でいくつか問題が発生してしまうことがあります。
しかし、筆者は想定される問題と対処法を知ることで、乗り越えることができると述べています。

具体例①
問題:孤独を感じる
解決法:丁寧なオンボーディングや関係構築プロセスを整え個人の問題にしない

具体例②
問題:情報の得やすさに格差が生まれる
解決法:意思決定はリモートの場で行う

#まずはバリューをマッチさせろ!カルチャーの醸成方法

今、時代はカルチャーマッチよりカルチャーアド(カルチャーアド:カルチャーを進化させていくこと)。
カルチャーは時代や市場の変化と共に改善されていくべきものだからです。カルチャー、つまり価値観や性格が似た者を集めていたカルチャーマッチだと変化が起きにくいのです。

そこで、重要になってきたのがバリューマッチです。
バリューはカルチャーとは異なり、組織が決めた行動指標であるため、その指標を守れるかどうかが観点になるからです。

バリューを浸透させるためには、いかにバリューが重要視されているかを従業員に実感してもらうことが大切です。
採用基準や意思決定に活用したり、全社で表彰をしたり、工夫すると良いでしょう。

#成果を出すために実践している人事制度や業務ルール

GitLabは個人パフォーマンスを「成果」と「行動」の2つの観点から考えています。
そのため、まずはパフォーマンスを計測する為の目標設定が必要です。

またパフォーマンスを上げるためには、マネージャーとメンバー間で役割を明確にすることも大切です
その中で、何を目標に置くのかを議論し決めることで、メンバーは「マネージャーを使う」という積極的な行動に移しやすくなります。

GitLabの人事制度も、明確な昇格基準や定義を設けています。
例えば「9-BOX」という、パフォーマンスを縦軸、成長力を横軸と設定し、さらに3段階ずつに分けた合計9つの枠組みを用いた評価制度があります。

他にも「クルーシャル・カンバセーション」というマネージャーとメンバーが効果的なフィードバックを共有するためのフレームワークを用いたり、至る所に工夫が施されています。

学び

この本を読んで、社内チャットの使い方やバリューに関する人事制度には全て組織が成果を上げるための意図があったのだと気付きました。
資料や議事録が社内チャットやNotion上でオープンになっていることに対し、「ナレッジの展開がしやすい」「情報の透明性が上がる」などの感想は持っていたものの、もう一歩先に意図された「孤独を感じない」「情報アクセスの偏りをなくす」「エンゲージメントを高める」「個人のパフォーマンスを上げる」といったより具体的な訳に気付けていなかったので、今回本書を通して理解が深められて良かったです。

感想

リモートより出社の方が成果が上がる、と考えていた私の固定概念が覆されました。
本書を読んで、リモート業務によって無駄な時間を省くことができ成果を上げることができると知ったからです。

一方、出社の良さもあるため、リモートが完全に効率的な業務体制だとは言い切れないとも思いました。
しかし、いずれにせよ効率的に働き成果を最大限にする方法を学ぶことができたので良かったです。

特にすぐ取り組めそうだと感じたのは、マネージャーと目標を設定し、役割を明確にすることです。
私はついマネージャーは管理をする人で、質問をすれば返してくれ、フィードバックをしてくれる存在だと思ってしまうのですが、役割が違うだけで目標を共に追う存在であり、さらにはメンバーは「マネージャーを使う」という積極的な気持ちを持つ必要があると学びました。
上司に頼る、質問する、という行為は悪いものではないと思いますが、いつのまにか受身の姿勢の表れとなってしまっていたことに気付き、ハッとさせられました。
これからは、マネージャーを積極的に使う、くらいの気持ちで取り組みたいですし、そのためにはマネージャーと目標や役割について話し、私自身明確に把握できる状態にしたいと思いました。

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