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高齢者=裕福は本当か?高齢者の実態と危険な誤解



高齢者が裕福だというイメージがXなどのSNSやメディアなどで拡散されているような印象です。

しかし、これは実態を反映していないと思っています。

こうした誤解が広がることで、近年広まっている高齢者をターゲットとすると闇バイトや悪質な勧誘に巻き込まれる可能性が高くなるのではないかと危惧しています。


高齢者の貯蓄は本当に多いのか?


経済成長を促す政策の一環として、高齢者の貯蓄に注目が集まっています。
企業の内部留保と並び、高齢者が持つ資産を有効活用しようとする考えもありますが、「高齢者は裕福だ」という認識が広がると、すべての高齢者が経済的に余裕があると誤解される恐れもあります。この誤解が社会問題につながる可能性もありそうだなと思っています。

実際、65歳以上の87.7%が「家計にゆとりがない」と感じているようです。


平均貯蓄額と実態のズレ


実際には高齢者の貯蓄状況は一様ではありません。例えば、60代の世帯では平均貯蓄額が約2427万円ですが、中央値は810万円と大きく差があることが分かっています。
この差は、一部の富裕層が平均を引き上げているためで、残念ながら多くの高齢者が裕福、とは言えない状況です。

さらに、貯蓄がゼロの世帯が約2割、3000万円以上の貯蓄がある世帯も約2割であることにも注目すべきです。
貯蓄の格差が大きいことが伺えます。


老後の生活に必要な資金


「老後2,000万円問題」として知られる2019年の金融庁の報告によると、夫65歳以上、妻60歳以上の無職世帯は、公的年金だけでは月々5万円の赤字が生じ、そのため30年間で約2,000万円の貯蓄が必要だとされています。

中央値である810万円の貯蓄額と比べても、老後に十分な資金がない世帯が多いことが推測できます。

ちなみに、2000万円という金額はモデルケースに基づいており、必要な額は、個々のライフスタイルや収入、支出によって異なります。全ての人に当てはまるわけではありませんが、将来の資産形成を考える上で重要な指標の一つだと思っています。

裕福な高齢者というイメージがもたらすリスク


高齢者が「裕福」というイメージが広がると、それを利用しようとする詐欺グループや闇バイトが増えるリスクもあります。

年金が生活費を補うには不十分な場合も多く、貯蓄を切り崩す必要があります。
医療費や予期せぬリフォーム代などの出費に備える必要がある高齢者にとって、余裕があるという認識が誤って広がることは、良いことではないですね。

まとめ

「高齢者は裕福だ」という固定観念は、実態を反映していない部分も多く、誤解が広がると詐欺や悪質な勧誘に巻き込まれるリスクが高まります。

実際、高齢者の経済状況は一様でなく、データの「平均」だけを鵜呑みにしてしまうと、偏った見方に陥ることもあります。
ニュースや情報を受け取る際は、その背景やデータの中身を見極め、冷静に疑う視点も大切だなと思いました。

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