1-7 下僕、イモをひねり潰す ~小説「女主人と下僕」~敗戦奴隷に堕ちた若者の出世艶譚~
ディミトリの「マーヤへの恋」が街に知れ渡って数年も経ったろうか。
その日、とうとうヨサックは本気でディミトリとマーヤの仲を潰しに掛かってきた。
このザレン茶舗の奥には、屋根はないが石畳で四方を建物で仕切られた、大きな正方形の中庭がある。仕切っている建物の3方の壁はザレン茶舗であり、ザレン茶舗の敷地である。
庭といっても、屋根がないだけで、石畳であり、そこは一種の非常に広い作業場であり休憩所である。粗末な大きなテーブルが何個か置いてあったり、部分的には雨除け日よけの布が屋