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荒川ロックゲートを訪ねて・・舟遊びへの参戦→街歩き(後編:街歩き編)
先日訪れた荒川ロックゲートをめぐる舟遊び。正直なところ、荒川放水路を舟で進み、水位差のある江東デルタ地帯の河川に、このロックゲートを越えて進んでいくという舟遊びをするまで、この荒川ロックゲートという存在はあまり知らないものでした。何事も体験することはとても大事ということを改めて感じたのでした。
前回の投稿で、舟遊びに参加した模様をご紹介しましたが、今回はその舟遊びを楽しんだ後の街歩きをした内容をご紹介します。
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都営新宿線の東大島駅と大島駅の間くらいの区間です。
今回歩く範囲は、ずばり、「ゼロメートル地帯」になります。そんな場所に海と直接繋がっている荒川放水路から船を引き入れたい、と思うのであれば、荒川ロックゲートで水位を下げてあげないと到達は難しい、という事実に気づくことでしょう。今回歩く範囲付近の等高線図を、国土地理院の地形図で描画させてみました。黄緑から青系の色の部分が、標高ゼロメートル以下の部分です。荒川放水路の両岸にゼロメートル地帯が広がっていて、その中でも荒川右岸である、江東区側のほうが、濃い青(標高マイナス2m以下)の領域が広がっていることがわかります。
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■まずは、荒川ロックゲートを通る船を眺める
最初に訪れた場所は、先ほど舟遊びで通った、荒川ロックゲート。舟遊びみづはさんの舟は、ロックゲートを通過して番所橋船着き場に到着したのちに、今度は帰り便で番所橋発のお客さんを乗せて戻っていくとのこと。その模様を見学しようと思いました。
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同行するのは、今回同行した、平野さんです(笑)。
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急いで訪問しました。間に合ったのでよかった・・・。
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楽しんできてくださいね。
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皆さん透明ビニル傘で防御しての水門通過です。
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頂上からの眺めは、なかなか格別でした。
■中川船番所資料館へ
次に訪れたのは、かつてこの地にあった、中川船番所を再現した資料館。
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何故この場所に番所があったかというと、江戸時代には、江戸川・利根川を経由する舟運が盛んで、そこから江戸に入るために開削された小名木川と中川との交点であるこの地に、番所が設けられたというところです。いわばここは、舟運にとっての「江戸の入口」ともいえる要衝でした。それを展示する記念館が、こちらです。
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工事で活躍した、土木技師:青山士(あきら)氏のご紹介も。
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こちらは、城東電気鉄道(都電の一部となった)の路線図です。
こんな感じで、地域の歴史が楽しく学べる資料館。とても面白い存在でした。
■ゼロメートル地帯を流れる、小名木川
さて、少し小名木川沿いを江戸(西)の方向に歩いてみましょう。
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実は小名木川は、周囲の地盤沈下が進んだ結果、荒川放水路と同じ水位を保つことができない川になってしまい、他の水域とつながっていなくて、水位を低く保つ川になってしまいました。
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小名木川の護岸、こちらの保存されている旧護岸を見ると、戦後になってからどんどん嵩上げが続いていることが分かります。つまり、地盤沈下の進行とともに、護岸の嵩上げが続いたのですが、とうとう荒川などと同じ水位に保つことができないため、河川水位を下げ、その結果護岸を下げても大丈夫になったので、下げた状態が現在の護岸、ということなのです。
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■大島駅に向かう
さて、小名木川沿いから、都営新宿線の大島駅を目指しましょう。
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ふらっと歩いているうちに、なかなか興味深いものをいくつか見つけることができた散策でした。
■終わりに
荒川ロックゲートに、小名木川の古い護岸など、海抜ゼロメートル地帯になったからこそ、色々と工夫されて作られたものが多い場所になりました。その場所にあった、中川番所資料館。とはいえ、地盤沈下が進んでしまったために、閘門等を通らず直接船で行き来することができなくなりましたが、江戸時代から続く舟運は、地域のシンボル的存在といっても良いもので、そうしたマインドが、荒川ロックゲートの整備にもつながったのかな、ということを知ることができました。