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【南大沢土木構造物めぐり】No.111 大平公園で見つけた、密かにすごいシステム

地元である、多摩ニュータウン・南大沢の街歩き。今の季節は、多摩ニュータウン通りのイチョウが黄色く色づき、ベルコリーヌ南大沢を茶色っぽい屋根とのコントラストがとても美しく、歩くのがとても楽しいシーズンです。

見晴歩道橋から見た、多摩ニュータウン通りのイチョウ並木。

そんな南大沢で、今回は大平公園に街歩きに行った際に見つけた、ちょっとすごいなあと思う、土木屋もビックリなシステムを見つけたので、ご紹介したいと思います。

■大平公園を歩く

大平公園は、南大沢駅から真南に歩いたところにあります。
公園の北側には、こんな城跡っぽいような石積みが。
そして、東南側に、池があります。

ビックリするのは、この池の水に関して・・です。

この標示を見て、驚きました。

池の脇に、このような看板が。公園に降り注いだ雨が流れ込んでいるようです。浸透水も集水されているとか。溢れた水を吐き出すシステムもあるようです。このシステムが、どのように成り立っているのかが気になり、池の周りを歩いてみることにしました。

雨が少ない時期だからか、水位は低そうです。
コンクリートでできた帯のようなものが。雨水が上流から流れてきそうです。
ちょっと辿ってみましょう。
いくつか、水が流れそうな人工の川筋のようなものがありそうです。
その上流には、井戸のようなものがありました。
そして、古びた看板が・・。

看板に書かれているのは、こんな内容です。

「テニスコートに降った雨は、地下の水槽に貯められています。満水になると、サイフォンの原理で流れ出します。そして、この水は手押しポンプでくみ上げることもできます。ただし、この水は飲めません。」

公園入口にある案内図。
テニスコートに降った水が、大平池に集水されるシステムのようです。
サイフォンの原理で流れ出す出口を探してみましたが・・
ちょっと見つかりませんでした。
そして、池の水かさが増すと、この写真の吐出口から排出される仕組みのようです。
先ほどのイラストから想像すると、吐出口は、ここにつながっていそうです。
擁壁の排水パイプの中では、とても不思議な部類に入る装飾です。
もう1種類は、こちら。温泉のお湯が出る場所っぽい(笑)。
そして、吐出した水は、歩道脇のこの水路を流れ、
下水管に吸い込まれていく仕組みのようです。

ということで、大平公園内に降った雨水は、テニスコートの貯留槽に貯められ、満杯になると、大平池に流入し、さらに満水になると、吐出口から下水管に排水されるシステムのようです。すなわち、大雨等が降った際の地下ダムのような役割をうまく果たしていて、かつ常時には大平池の水位を下げ過ぎることが無いような工夫がされているようでした。

多摩ニュータウンで地下ダム的なものについては、長池公園から京王堀之内駅の方向に流れる、「せせらぎ緑道」にあることを以前紹介しました。この大平公園にも、それに似たような機能があることがわかりました。

この地区は、多摩丘陵を開発して宅地ができたエリアで、宅地開発の影響により、河川の氾濫が多くならないように、雨水流出抑制対策が施されています。このエリアの公園には、池が整備されていることが少なくありませんが、それらの多くは、雨水の流量調整の機能を持っていることが多いようです。南大沢を流れる大田川の上流端にある、小山内裏公園の大田切池も、同じような目的で水が貯められています。

多摩ニュータウンに隣接する、町田市の多摩境駅周辺には、もう少し人工的に雨水を溜めようとしている池があります。普段は公園などの用途で使われている場所に、大雨時は水没させて洪水対策をする、という考え方です。

■終わりに

近所にある大平公園の池は、雨水が流れ込んで池の水を枯らさないような工夫がされているようです。それは、公園の水辺空間に潤いを与えるだけでなく、大雨の際には雨水流出抑制対策にもなるような機能があるようです。ニュータウンの公園は、そんな場所が多く、非常に工夫されていることを知りましたが、実際にそれが今も機能しているかは、ちょっとよくわからない感じがしました。一度雨が降った時に再訪してみたいと思いました。

もし、今もしっかりこういう機能がちゃんと使われているのであれば、もっとアピールしても良いものではないかと思います。身近な公園の興味深い機能について、改めて学ぶことができました。

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