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■鉄ドボ in KYOTO■②:阪急西京極駅に眠る不思議な鉄道橋をめでる
勝手に「鉄ドボ」みたいなタイトルをつけています(笑)。京都出身で、実家付近で仕事をして、少し帰省した週末。鉄なブラブラ街歩きを楽しんでいます。前回は、阪急京都線西院駅から、土木遺産になっている地下線坑口を眺め、西京極駅に向かってきました。(前回の記事はこちら)
今回は、盛土築堤上にある、阪急西京極駅と、その付近にあるちょっと変わったものをいくつかご案内します。
■謎の1線分の空きスペースと、不思議な橋の正体
西京極駅と、西院駅の間の阪急電車の今の線路の横には、何だか不思議な1線分の線路が敷設できそうな空きスペースがあります。
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この部分、実は自身が子供時代から毎日使っていた路線で、ずーっと気になっていたのですが、改めて探索していなかったのですが・・、実は、
昭和初期に線路が開通した際に、貨物線を敷設する計画があった名残
なのだそうです。西京極駅付近で分岐した単線の貨物線が、西院駅の手前にある貨物駅まで敷設される計画があったとか。
なんとまた、そんな計画の痕跡が、現代まで残っているとはまたすごいです。未成線の桁、眺めながら探索を続けます。
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この橋は何のためにあるの?と気になりませんか?道路?河川?どちらも該当しないようで、何だか無駄な構造物のようにも見えたりしますが・・、これがまた、
避溢橋(ひいつきょう)
という構造物なのです。この橋の役割は、河川が洪水になった際に、盛土構造物がダムのような役目を果たしてしまい、上流側の町の浸水深が増えてしまわないように、盛土をわざと途切れさせた部分に架けられる橋、なのです。この区間の盛土には、こうした洪水対策が、実は昔から施されているのです。
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阪急電車は、西京極駅の手前で、比較的新しい大通である、葛野大路(かどのおおじ)を渡ります。
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■西京極駅の西側の、避溢橋
最大の見どころは、西京極駅付近にあるのですが、今回は美味しいところは最後にいただく作戦で(笑)、ちょっと西京極駅をスルーして、さらに先、桂駅方向に向かいましょう。
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避溢橋の意味を知るべく、京都市の防災ハザードマップを参照。こちらは、西京極駅付近を流れる、天神川が氾濫した場合の浸水予想図。阪急電車がダムの役割を果たしてしまうと、線路の上流側は甚大な浸水被害が発生してしまうのです。
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意外と京都市内は浸水しやすい場所が多いのです。
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桂川にも近いので、多くの流量を流す必要があるためなのですかね?
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自転車をおかないでください】
水路の機能を維持・・ということは、この小さなボックスも、本来は避溢橋の機能を期待されているのでしょうかね?このあたりは、大小さまざまな避溢橋がある場所、ということになります。
今であれば、恐らく盛土構造物を連続的に設置するような設計は採用せず、高架橋で通過する区間なのでしょうが、昔はこのように築堤を多用する場合は、避溢橋と組み合わせて盛土区間を形成していたようです。
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後ろに見える山は、愛宕山です。
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■西京極駅付近の、未成線構造物
さあ、西京極駅付近の、未成線の構造物を見てみましょう。
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桁下2.3m制限で、なかなか見ごたえのある橋です。
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陸上競技場に向かう、歩道があるのですが・・、
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未成線の橋梁をそのまま流用した歩道橋です。
振り返った先に、すごいものがあります。
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天神川を渡る橋梁。
うわ、これすごいですね。後ほど駅構内からも眺めてみましょう。
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野球やサッカーの試合があると開放される出入口。
架線柱が何とも興味深い場所に建っています。
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さて、駅の中に入ってみましょう。
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いかにも1線電車が走りそうな雰囲気が漂います。
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今はサンガの本拠地は、亀岡市に移りました。
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やっぱりすごい場所ですね。
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昔から身近にある場所にあったとは。。
■終わりに
阪急西京極駅付近は、ちょっと不思議な貨物線の未成線跡が残る興味深い場所。それが今も、陸上競技場に向かう陸橋として現役で使われているというのが、何だかすごいのですが、あまりにさりげなく使い続けているので、実は小さい頃からほとんど違和感なく通り過ぎていました。改めてよく見てみると、あれ、こんなにすごいんだ、と思える場所でした。
次回は、再び阪急電車に乗り、大宮駅を目指します。
鉄ドボ、まだまだ続きますので、お楽しみに!