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新宿御苑・玉川上水をめぐる(千駄ヶ谷から四谷大木戸を目指す)

職場の付近の新宿・渋谷周辺を昼休みによく歩き回っていますが、なかなかたどり着けない場所があります。その中の一つが、この場所、「新宿御苑」です。昼休みの1時間足らずでは、ここまでの往復時間を考えると、滞在時間がわずかになってしまうのと、さらにお金を払ってまで園内を歩くことはできず、なかなか遠い場所でした。

今回は、この「新宿御苑」に行ってみることにしました。新宿御苑と言えば、子供が幼い頃に何度か花見で訪れた以来入園したことが無く、実はずっと前から行ってみたいスポットでした。なぜ行きたくなっていたか、地図を用いて説明します。

■新宿御苑はどんな場所?

国土地理院の地形図では、新宿駅の南東に広がる、広い公園のイメージです。

新宿御苑は、新宿駅の東南方向に広がる大きな公園です。大名屋敷だった場所が、農業試験所や、皇室のゴルフ場として使われたりした後、今は国が管理する公園になっています。一時期は、「桜を見る会」の会場ということで、話題になったこともありました。
園内に横一列に並ぶ池が見られます。この池は一体何でしょう?下の地図で説明するとわかりやすいです。国土地理院の「土地条件図」。盛土、切土をしている場所や、低湿地などの情報がこれを見るとよくわかります。

土地条件図では、新宿御苑の池は、渋谷川の最上流の谷の一部であることがわかります。
台地の中に、複雑な谷地形が隠れているのです。

新宿御苑の中の池は、実は武蔵野台地を刻んだ渋谷川の源流部に位置しています。都心では市街化されているところが大半ですが、ここは巨大な公園なので、その微地形の谷を生かして池がある、という特殊な場所なのです。
そんな新宿御苑を、小雨の降る8月最後の週末に、土木の仲間と一緒に歩いてきました。

■千駄ヶ谷駅からスタート

千駄ヶ谷駅です。新宿駅から2駅、5分ほどで到着します。
塀の向こうの森は、新宿御苑です。
左の線路の隣にもう一つホームが。
国立競技場の最寄り駅。2020東京オリンピックの際にホームが整備されました。
線路を斜めに横断する橋。後で下をくぐります。
千駄ヶ谷駅は、将棋会館のある駅でもあるようです。
駒は、岡山の英雄、第15世名人、昭和の5冠 大山康晴さんの書だとか。
千駄ヶ谷駅は、国立競技場を意識してか、木を使ったイメージになっています。
改装前と比べ、コンコースが広くなった感じがします。
混雑見込みとの標示に、「消毒駅」
前の駅は「対策」、次の駅は「習慣」だそう。

混雑見込みとあるので、何があったのかと思ったら・・・、

当日は矢沢永吉さんのライブがあったみたいですね。午前の駅はまだのどかな雰囲気でしたが、夜は賑わったのでしょうね(笑)。

千駄ヶ谷駅。大きな屋根がある、と思いましたが、
実は首都高4号新宿線の桁下空間を屋根のように利用しています。
駅の向かい側は、東京体育館。

東京体育館も、東京2020五輪の際は、卓球の会場でした。1年前のパラリンピック開催期間中に訪れた際は、こんな感じでした。

2021年8月のパラリンピック当時の様子。
無観客の東京体育館。入口ゲートから奥は一般人は入れない状態でした。

■新宿御苑へ向かう

先ほど上から眺めた、斜めに横断する架道橋。
「八幡前ガード」と言う名前のガードです。
八幡さまとは、南側にある、鳩森八幡神社を指すのでしょうか?
プラットホームを跨ぐ橋の橋台には「1964-8」のプレートが。
前の東京五輪の際に、臨時ホームが増設された際の橋台のようです。
今のホームは、その当時の橋台に支えられています。

■新宿御苑に入る

新宿御苑の千駄ヶ谷門にやって来ました。駅からは5分くらいの距離です。
新宿御苑の案内図。渋谷川源流部にある、上の池~下の池と、玉藻池です。
新宿御苑の中の池。これが渋谷川の源流部です。
池の奥には、代々木駅前のドコモタワーが見えます。
木橋がありました。橋脚は古そうなので、桁だけ架け替えられているのでしょうか。
そんなところをつい見てしまうのが、土木屋です(笑)。
玉藻池の下流にある、暗渠のような水路。公園内にも暗渠がありました。。

新宿御苑、昔の川の流れを生かして池が作られています。それ以外の場所が芝生広場になっていて、とてもうまく工夫されている感じがします。

■旧洋館御休所を見学

新宿御苑は、元々譜代大名だった、内藤家の大名屋敷があった場所で、明治時代は農業試験所などがあったそうです。

また、この地には皇室が利用するゴルフ場がありました。

【新宿御苑100年 御苑にあったゴルフ場】
https://www.golferweb.jp/column/column.php?bangumi_no=16&up_date=2006-11-03

(GolferWeb 2006年11月)

今も洋館御休所と言う建物が残っていて、見学できるので見てきました。館内は撮影禁止ですが、明治天皇と皇后の使われた浴室や、食堂などの施設も残されていて、農業試験所時代の100年前のメロンの標本などもあり、とても興味深い場所でした。

旧洋館御休所(重要文化財)
洒落た外観の建物です。
温室が眺められるテラスのような場所。
これは、明治時代の農業試験所の温室の基礎遺構。レンガの基礎が残されています。

■玉川上水を歩く

旧大木戸門衛所の建物。昭和2年築。
新宿御苑の北側には、玉川上水の流れが再現されています。
水の流れは、真下にある国道20号新宿御苑トンネルの排水を流しているとか。
内藤新宿開設200年記念碑だそうですが、草に埋もれています。。
新宿御苑の東端にある、暗渠跡。渋谷川の最源流部です。
江戸の上水道、玉川上水の余水が、ここに流されていました。

■四谷大木戸付近を散策する

四谷四丁目交差点に到着。新宿御苑トンネルの分岐点です。
四ツ谷四丁目交差点の横にある、「水道碑記」
江戸時代に水番屋があった場所にある巨大な記念碑。

四ツ谷大木戸とは、江戸の内外を隔てる木戸が甲州街道にあった場所です。この場所に玉川上水の水番所があり、余水が渋谷川に流されていました。その場所に明治時代に玉川上水の事業を讃える漢文の石碑が作られたものです。下記のサイトに書き下し文があるので、ご紹介。

その横には、四谷大木戸跡の石碑もあります。

四ツ谷大木戸跡。

四ツ谷四丁目の交差点には、もう一つ興味深い石碑を発見。この場所は、江戸の出入口であり、昔の甲州街道の実質のスタート地点です。

左 下諏訪宿 という道標。
下諏訪までつながる甲州街道が、ここから始まるという意味ですね。

■終わりに

小雨の降る中、千駄ヶ谷駅から新宿御苑に入園し、渋谷川源流部の池を鑑賞しました。その後、旧洋館御休所の建物を見学し、玉川上水や四谷大木戸跡などを巡りました。少しの距離の中に興味深い鑑賞ポイントがたくさんある、楽しい街歩きでした。

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