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【読書感想文】親ガチャという病
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令和ニッポンにおいて注目を集める流行語を軸に、6人の識者のインタビューと土井隆義さんの寄稿の全7章でそれぞれの日本社会の「空気」を深掘りしている。
「流行語」というのも「親ガチャ」「無敵の人」などネガティブな方のもの。
その空気こそ「病」だという内容。
森達也がいる!という理由で図書館で借りましたが、これは買って保存版にするかも。
全ての章が良かったです。
目次↓
第1章 親ガチャという病 土井隆義(社会学者)
第2章 無敵の人という病 和田秀樹(精神科医、評論家)
第3章 キャンセルカルチャーという病 森達也(映画監督、作家)
第4章 ツイフェミという病 室井佑月(作家)
第5章 正義バカという病 池田清彦(生物学者)
第6章 ルッキズムという病 香山リカ(精神科医)
第7章 反出生主義という病 中島義道(哲学者)
それぞれの章がみんな面白い。
それぞれのテーマで気づかされる「日本の空気」
この空気の中で生きてきて、知らず知らずに感染してるのだなあと思いました。
コロナ禍で起きた現象や問題、SNSの炎上など最近で急激に変化していってる日本の空気感がよく分かる。
正直これは全日本人に読んで欲しい、と思う。
私はどの章もすごく共感しながら読みました。
かと言って、この本に共感して欲しいという訳ではない。
読んだ上でどう思うか、いろんな人の意見を聞いてみたいなと思う。
↑なーんて言ってるのは実はタテマエで良い人に見られたいからかもしれない。
本当は「これを読んでしかと反省しろ日本人!」みたいに思っている。
読んで共感しろ!考えなおせ!改めろ!
改めるべき!こうあるべき!!
なんて心の底では思っている。
でも人の反応が怖い。
嫌われたくない
違う意見の人から叩かれたくない。
だからなるべく自分は公平な目を持ってるよ、って振る舞いをしようとしているのかもしれない。
だから、みんなの意見も聞いてみたいなーなんて言ったりしてる。
それは本当の本心か?私。
と、そんな自分に気づかされる本でもありましたww
私は今は若い頃に比べたら生きやすくなったなあとか思っていたけど、これを読んでいて果たして本当にそうなのか?と思ってしまった。
いい人でなくてはいけない
賢くならなければいけない
大人にならなければいけない
愛されなくてはならない
全ては自分次第
ダメなのは自己責任
嫌われたくない、叩かれたくない
ないないないない。
「成長するほど生きやすく人生が豊かになる」なんて思ってはいたけど、実は社会の空気に毒されてありのままの自分を見失っているのではないか?
なんにせよ、今の時代は昔のようにありえない各種ハラスメントなどが許されなくなった代わりに間違いなく不寛容な世の中にはなっていると思う。
ちょっとの失言でめちゃくちゃ叩かれる。
有名人なら日常会話ですらアンチが深掘りして重箱の隅をつつくように叩く事もある。
それも簡単に集団化するので始末が悪い。
そんな世の中だから周りの、社会の空気に忖度する。
当たり障りのない毒のない発信。
言いたいことをハッキリ言う、声を上げる時もものすごく気を使って言葉を選ぶ。
化粧をしないと人に会えない。
女らしくしないと愛されない。
顔を見せるのが怖くてマスクが取れない。
日本特有の社会毒の「病」に冒されているのだな所詮私も、と今こうして書きながら気づかされております…
(マスクは取ってるけど)
(近所はドすっぴんで歩いてるけど)
しかし、ありのまま生きるなんてマジでむずいっすね。うん。
ムリゲームリゲー。
ただ、そんないびつさも受け入れて良いんだって救いが最終章の最後の〆にあります。
最後に哲学者が来るのは良かった。
よく出来てる。
嫌われたくないと思いながら本音にフタをしてありのままを見失う自分も
人それぞれ?クソ喰らえじゃー!私の意見が正しい!!
なんて内心思ってる自分も
どちらも間違いじゃない。
受け入れて良い。
そして、他人にもそれを寛容に許せば良いのだ。
意見が違えばケンカでもすれば良いのだ。
前と違うこと言っててもいいのだ。人は変わる。それが人の道だ。
うん。
統括になるかはわからないけれど、最終章の中島義道さんの最後のページを読んで
世界に一つだけの道
って言葉が浮かんだ。
病と共に生きても、誰かと似たような生き方をしても、そこに至るまでの自分の道は誰にも真似できない。
良かった。
とても良かった。
もちろん犯罪行為とかは許されないけど
もっと日本が寛容になれますように。
そもそも極端に突っ走りすぎ。
自分の首を絞めない世の中作りをみんなで出来たら良いなあと思います。
良い本でした。