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紫なのよ、山芋が。

こないだ、母上の愉快な仲間たちである
肉やのおいちゃんが

「山芋ほーて、持ってきちゃったばい!
食べなぃ!」と
声も高らかにやってきた。

ヒャッホウ!山芋大好き!

さっそく泥を落とすべく洗ってたら
私が知ってるそれとなんかチガウ。

ヒィヤァァァァーーー
ムラサキぃぃぃーーーー

そう、おいちゃんが持ってきたのは
紫色の山芋。

紫のさつまいもなら知ってるし
食べたこともある。

けれども
紫の山芋は初めてお目にかかる。

(流行ってんのカナ??)

いや、そんなことよりも。

紫の、て。

皮もムラサキ。
皮剥いてもムラサキ。
切ってもムラサキ。

ちょっとコワイのよ。
毒々しいのよ。
そして、白い山芋よりも
カィィのよ………

おいちゃんが持ってきたその日はね、
輪切りにして、ごま油でこんがり焼いて、
塩をパラリとしていただきました。

そりゃぁもう、ホックホクでねっとりして
滋味深いお味でねぇ。

うっとりするほど美味しかったのよ??

でも、ムラサキ。

んんっんぅ〜

目と味ががち合わず、なんとも奇妙な
心もち。

それからしばらく紫のそれは調理できず。

だって、ねぇ?
(コワイもんねぇ?)

いや、でも、そろそろ食べてしまわないとね?

テコトデ

意を決してトロロにしようと
おろしがねでやってしまう。

うん、やっぱりムラサキよね。
当たり前だけどムラサキよ。
そしてカィィのよ。モウレツに。

しかも、トロトロのトロロにならず。

見た目ザリザリで、
もたもた~ん。

えぇい!こうなったら!

菜箸でぐるぐるぐるぐる・・・・

はぁい!?
ナニコレーーーー??

紫の、餅?

本当は、カボスをギゥと絞って
お醤油をタラリとやって食べようと
思ったんだけど、
このままでは絶対にカィィ。
口のまわりがかゆなる。

作戦変更。
どのみち今夜はあったかいおそば。
蕎麦つゆの中に放り込め!

(豚肉と白ネギと針生姜を
麺つゆでささっと炊いた
あったかいつけ汁です)

菜箸でつまみながら
紫の、餅?を
ポトンと落として
火を通して。


一口大に丸めて、フライパンで少し焼いて
底辺がカリカリになったお蕎麦とともに
いただきました。

見た目はアレでアレだけど
やはり滋味深いお味。

最初はムチンムチンしてて
だんだんトロトロしてきて

一口で二度美味し。

でーもーーー、

やっぱり
紫、でした。
見た目とお味ががち合わずに

んんっんぅ~~・・・

って、なったよね。


まぁ、紫は高貴なお色とも言うし。

今夜、母上と私は
平安貴族よろしく
高貴な御人になりました。


おいちゃん、来年は
白い山芋をお願いします。










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