もね

「あなたが無事な世界が正しい」 ここは、観客不在の日常記録。 有益な情報はありません。

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最近の記事

「いつか富士山登ってみたいんだよね」

「いつか富士山登ってみたいんだよね」 「えーじゃあ一緒に行こうよ」 父と学生時代そんな話をしていた。 あれから数年経ち、富士山登頂を決行。 帰ってきてから、 父と富士山行ってきたんですよ〜と職場の先輩方に報告すると 「ああそれは親孝行だね、お父さんきっと嬉しかったでしょう」と言われ。 とはいえ、娘のわたしからしてみると、父が嬉しがっていたとはあまり思えなかった。 誘った時も、「まあそういうなら一緒に行ってやるか」的な雰囲気だったし。 登頂後解散するときも「お互い怪我し

    • ラストダンスへの敗北

      好きな本を聞かれて「アシモフが好き」と答えた人がいた。 その世界に潜らないと出てこないアシモフという名前。その名前を聞いて「古典SFですね!」と盛り上がれる人が一体どれだけいるだろうか。 「本が好き」という言葉には様々な深さのグラデーションがあるように思う。わたしは自分の「好き」の世界を最初から全開で人と話すことに抵抗がある。「ゲーテが好き」と言っても古典に興味なければ「???」だし、読んでいただいた場合、それを好きと思うかどうかは読み手によってかなり大きく分かれるだろう。

      • 火山島にて

        三宅島へ一人旅をした。 2016年神津島ぶりの伊豆諸島。 船旅が好き。窮屈な空が一気に開ける。 東京の煌びやかな夜景は徐々に遠ざかり、船は真っ暗で静まり返った海の上に浮かぶ。 波風の音と、船の汽笛だけが聞こえる時間。 気張らずにいることを許してもらえるような時間だ。 まあほんとうは、一人でインドに行きたかったのだけれど、紆余曲折があって三宅島になった。 2016年の神津島は、部活が嫌になりすぎて逃げ出すみたいに船に乗った。 当時はもうほんとに弓を引きたくなかった。(船旅

        • 「人生1回だしさ」

          過去のわたしは、人間関係の終焉から逆算をすることが悪癖だった。 自分の意図しない、突然降りかかる理不尽な終焉に耐えられなかった。 半身をなくしたような感覚になり身体が動かなくなる。身体から心を離し、しばらく世界との付き合い方を忘れる。 そんな衝撃から少しでも逃れたくて、逆算をした。 終焉を仮設定し、それが訪れるまでの時間、悔いが残らないように、そしていつ終わってもわたしの心身が耐えられるように、身構えた。次第に終焉に辿り着くまでの経過を恨むようになり、時間が進んでいくこと

          幻の燈台に向かって

          週に一度、仕事が終わる一時間前にYさんとzoomカンファレンスをしている。 実際にお会いしたことがあるのは2回ほど。 集合研修に参加したときの講師がYさんで、なんとなくこの人ともう少しお話してみたいと思い、わたしからお声がけさせていただいた。 突き抜けて明るいように見えて、個として人と関わることを避けてるみたいな、なにか背負ってる変わった空気の人だな、というのがYさんの第一印象だった。 今となっては、Yさんの仕事の在り方に惚れ込んで、少しでもYさんに近づきたくて画面越し

          幻の燈台に向かって

          子離れ

          わたしの両親は、お互いのことを名前で呼ぶ。さちこ。健ちゃん。 そのことが、いろんな家族の在り方がある中で、決して当たり前のことでないことを最近知った。 「結婚してすぐはお互い名前で呼んでましたけどね。子どもが出来てからは、お互いにパパママ呼びになっちゃった。だから俺もう何年も嫁の名前口にしてないです。」 わたしの髪を染めながら美容師さんは言う。 確かに、弟はわたしのことを「お姉ちゃん」と呼ぶし、わたしは両親を「お父さん」「お母さん」と呼ぶ。名前で呼ぶことはほぼない。

          子離れ

          わたしは死んだらダイヤモンドになるらしい

          「もしあの時に戻れるなら、自分は結婚しないことを選ぶと思う。」 「人は変わるから。良くも悪くも。」 「相手を選んだ若い時の自分の価値観が、歳を重ねても同じとは限らないわ。」 「人として、とても魅力的だと思う。良い母になると思う。けれど女として見れない。」 すべて結婚歴がある諸先輩方からの言葉だ。 結婚について経験者から話をきくと、ああこの人とでなければ、という後悔や、これからの人生への諦めの言葉が出てくることがよくある。 3組に1組が離婚すると言われる時代。 家から結婚を

          わたしは死んだらダイヤモンドになるらしい