映画『さよならテレビ』
※2020年1月13日にCharlieInTheFogで公開した記事「見た・聴いた・読んだ 2020.1.6-12」(元リンク)のうち、本作言及部分を抜粋して転載したものです。
おととし秋に放送された東海テレビのテレビドキュメンタリーを30分ほど長くして、丁寧に再編集された劇場版です。大阪・十三の第七芸術劇場で平日夕方の回に見てきました。
テレビ放送版では最後の最後までとっておかれた仕掛けが、映画版では最初に示唆されているところが一番の変化かもしれません。
主にフォーカスが当たる3人は、キャスターなのに自身を前に出そうとしないアナウンサー、ジャーナリズムを志しながらも契約社員という弱い立場で組織の論理に唯々諾々と従っているベテラン記者、派遣社員として招かれるも適性が疑われるほど基本的なミスを続けて起こしてしまう若手記者です。
劇中に登場する人物はその多くが、あらゆる組織に存在するキャラクターで、普遍性のある物語として見ることができます。おそらく見るものそれぞれが共感する対象を持ちながら見ていると思います。
問題は、普通の職場には存在しない登場人物もいるところ。それは冒頭に示した仕掛けに関わってくるので述べません。ただテレビを「さらけ出す」ことの、ある側面では偽善的にも見える試みをどう評価すればいいのか、迷い葛藤するところから、実はテレビの再生は始まるのかもしれません。