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何もない自分

 日経日曜版で編集委員の方が人から聞いた話として書いておられたのだが、「人がこう言っているああ言っているという話ばかりで『じゃあおまえはどうなのか』と聞くと何もない」と答える。毎日SNSなどを見て、ああ思ったりこう思ったりしている自分も同じようなもの。「これが自分の意見」とおぼしきことも、実は誰かの借り物でありそうに思われるからだ。

 この編集委員さんは、人から聞いた話を元にご自分の意見を書かれているが、それを読んだ私はまたその記事を引用している。自分はこの記事をなるほどとは思ったが、それこそ自分の意見ではなく、人の意見の借り物なのかもしれない。

 だが今の時代、自分の考え方に少しでも不安を覚えると、どうしても直ぐネットで調べてしまう。まあネットに頼ると何らかの答えが返ってくるので、頼ってしまえるところが現代の便利なところなのだが。

 そして色々検索していくうちに自分の意見が醸成されていくように思えてしまうが、実は色々な人の意見のパッチワークに過ぎないのかもしれない。ただ世の中を見ると、ひと握りの強烈な自分の意見を推し進められる者だけが本物で、それについて行くだけの大多数の者なんか所詮何者でもないのかもしれない。

 若い世代でもないのにそんな思考に陥ってしまった。これもインポスター症候群なのかな。


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