見出し画像

小6息子、彼なりの感謝の伝え方

 オリンピックの開会式が開かれた時期、中3娘の進学先候補の見学を兼ねて家族4人で飛行機に乗る機会がありました。

 小6息子は以前から飛行機そのものに強い関心があり、羽田空港にあるフライトシュミレーションの見学に行ったこともあります。
その時の記事はこちら

 そのため、今回の飛行機の搭乗においてもどの機種に乗るのか?など並々ならぬ関心を寄せていました。利用した飛行機はANA。今まで海外出張で貯めたマイルを使うことができるからです。

 行きの飛行機の中、フライトアテンダントによる飲み物の機内サービスが始まりました。小6にもなると照れがあるのか、息子はフライトアテンダントに飲み物を聞かれても、「えっ、何があるの?」と小声で隣の私に聞いてくる始末。結局、彼はリンゴジュースを頼みました。

 私が飲み物を飲み終わり、使い終わったテーブルを畳んだところを見て、息子はそれを真似しようとしたのか、まだリンゴジュースが入ったコップを左手に右手だけでテーブルを折りたたもうとした瞬間、左手のコップが傾いて、隣に座っていた私の右腕と肘掛けにリンゴジュースが振りかかりました。

「あちゃー」と思いながら、私はせっせと自分のハンカチで濡れた腕と肘掛けを拭きました。

 そこをたまたま通り過ぎたフライトアテンダント。

 こぼれた瞬間は見ていなかったものの、すぐさま事情を察知して、お手拭きを2、3個持ってきてくれました。

 息子も相手に伝わるかどうか分からないくらい、少し頭を下げて、小声で御礼をしていました。親としては相手に伝わるように内心もう少しハキハキと御礼を言って欲しいと思いつつも、小6になってまで「ありがとうは?」なんて言われるのも、彼にとっては逆効果と思い、それ以上は言いませんでした。ただ、私からは「お客様の些細な動きも見逃さず、察知できるANAのフライトアテンダントはさすがだねぇ」と息子に伝えました。

 こんなエピソードがあったことも忘れかけていた1カ月半後、突如、息子はANAから返事が来たといってそのメールを私に見せてくれました。そこにはなんと息子がANAのホームページにある「ご意見、ご要望」のページ経由で今回の件に関わる御礼の連絡をしたことに対するANAからの御礼のメールでした。

 今回の息子からの連絡への感謝の意とこの内容を社内で共有したいということが書かれていました。

 息子がそもそも御礼の連絡をしていたことすら知らなかった私はとても驚きました。

 息子はサービスを受けた直後は態度では示さなかったけれども、感謝の念を持ち、それをホームページを通じて相手に伝えたことに対して、素直に「凄いなぁ」と声を掛けました。

 私はそもそも懸賞付きのアンケート等で求められない限り、こういったことに回答したことがないですし、「ご意見、ご要望」とあると、ついつい何か期待に沿わないサービスを受けたときのみ書くと思いがちですが、息子のような感謝の伝え方もあるのだと、息子から学ぶことができた一日でした。

 あの時、御礼もまともに伝えられないのか?と頭ごなしに怒っていたら、彼は不貞腐れて、その後の旅行もつまらないものになっていたと思います。

 その後の展開までは期待はしていませんでしたが、息子を見守った対応をして良かったなと思いました。

 また、こういった小学生からの連絡にも真摯に返信を下さったANAの方にも感謝したいと思いました。息子にとっては感謝の意を示してそれで充分だったのかもしれませんが、こういった返信を頂けると、息子にとっては自分が起こした小さな行動が、きちんと相手に伝わっているという達成感が得られたと思います。

 今回のことを通じて、改めて人はいろいろな場面で人との出会いによって、育っていくものだと改めて思いました。なかなかコロナ禍で新たな出会いの機会や経験を増やすことは難しいのですが、限られた経験も一つ一つ大事にすることで成長することはできそうです。

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?