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📚56【恋とか愛とかやさしさなら】あなたならどうする⁇ 1008
【とっても私的なお知らせ】
無料部分を少しだけ広げました
ご再読いただけましたら幸いです
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恋とか愛とかやさしさなら
一穂ミチ(2007年デビュー、『ツミデミック』で第171回直木賞受賞)
小学館 236頁
2024/11/4初版
「直木賞受賞第一作」ということ、「発売即重版」という文句に惹かれた。
加えて広告や書評の魅力的なこと。
ミーハーな私。
それにしてもジャンルは恋愛小説だったのか……
プロポーズの翌日、恋人が盗撮で捕まった。
あなたならどうしますか。著者新境地となる恋愛小説。
「啓久のやったことは性加害だよ。犯罪なの」
「このまま目を瞑って結婚するって選択、全然ありだと思う」
本書は、神尾啓久の恋人である、カメラマン関口新夏編「恋とか愛とかやさしさなら」と、啓久編「恋とか愛とかやさしさより」の2編で構成されている。
新夏編では、新夏と啓久の恋愛は勿論のこと、新夏の家族関係や啓久の家族関係が描かれる。
幸せの絶頂から転落するかのような盗撮事件では、新夏に対する啓久の家族の想いが顕になる。
盗撮した啓久との関係を続けるのか、別れるべきなのか、理解したい、理解できるだろうかと、啓久に向き合うのに必死な新夏。
その行動は、家族の過去にも起因する。
啓久編では、転職し自身の加害に向き合う日々が描かれる。
被害者小山内莉子と交流を持ち、自助グループにも参加する。
啓久の姉を通して家族の過去を知り、莉子と会ううちに莉子のトラウマやハリボテの家族関係を知る。
自助グループリーダーとも個人的に交流し、距離が縮まる。
終始、「恋人関係を続ける?」「結婚する?」「愛することができる?」「許せる?」と問われる。
これは一体恋愛小説なのか?
家族小説なのか、それとも更生の物語なのか。
彼と彼女、罪と罰、被害者と加害者、親と子、発信者と視聴者、先輩社員と新入り従業員、自助グループリーダーと参加者……
どの関係も境目はクリアではなく、表裏は一体であり一転することもある。
"罪を糾弾する物語"ではない。罪も罰も、私たちが考え続けなければならないのだ。だから余計に沁みる。
恥ずかしいままで生きて、待っていよう。
何度でも読み返してみたい小説を、また1冊増やしてしまった。
(2024/12/30)
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