本を読もう
何度か記事でご紹介している、高田大介さんの『図書館の魔女』。
図書館というからには避けては通れない、書物について語っているセリフをご紹介します。
このあと門外不出の秘法の書などない、というセリフがあり、以下の言葉へと続きます。
ストーリーもぐんぐん引き込まれますが、この本を読んでいて印象に残るのが、曖昧な表現で回避する文章が見当たらないことです。
上のセリフも著者自身の覚悟を表しているように思えてなりません。
以下は、この本をすすめてくれた息子との会話。
「お母さん、最初に出てくる炭焼きの話にえらく感心してたじゃない。ちょっとネタバレしちゃうけど、炭焼きの話はもう出てこないよ。」
「えー!これだけ調べるの、すごく大変なはずだよ。まさか炭焼きを職業にしてた人じゃないだろうし。」
「そうだよね、この場面のためだけにきっといろいろ調べて、あとはその知識はポイってしちゃうんだもんね。すごいよねー。」
知識か‥。
ためしに「知」の字を大漢和辞典で引いてみました。
漢字の疑問は大抵解決してくれる大漢和。
ところが‥
認識したことが矢のように速く口から出てくる?
意味がよくわからない。
あちこち参照してようやくこれかも?と行き着いたのが「知」の漢字を構成する「矢」の意味でした。
大漢和で「矢」の第一の意味は、弓矢の矢。
その後に、つらなる、ならべる、ちかう、ただしい、まっすぐ、という定義が続きます。
ああそうか。
心の内に認めたことを、そのまま自分の中に留めずに言葉にすること。
その言葉が矢のように真っ直ぐに突き進み、真実を貫こうとするのが「知」なのか。
ここに至って冒頭に引用したセリフが少し理解できた気がしました。
知は身の内に留めおくものではなく、正しい方向に向けて発するもの。本を書くことは、自分が発した「知」の正しさを人に問う覚悟をすること。
そして本を読むことは、書き手の覚悟に対峙すること。
今日の結論:本を読もう。
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