呪い
「早く◯◯して」、私の口癖である。
旦那と5才の息子に
呪いをかけるが如く浴びせている。
早く起きて
早くトイレ行って
早くお茶のんで
早くご飯たべて
早くお着替えして
早くハミガキして
早く靴はいて
早く歩いて
数えるときりがないほど早く早くと連呼している。
決して息子の名前が「早く」というわけではない。
そして昨夜、この呪いの重大な誤りに気づく出来事があった。
晩御飯を食べて息子に歯磨きのしあげをしたあとのことだった。
リビングでしあげをしてもらった息子はハミガキを片付けに洗面所に行った。
リビングに戻ってきた息子は泣いていた。
パパが怒ったとのこと。
理由を聞くと
「ぼくがカエルさんの台(踏み台)を使わんかったし。使わんくてハミガキ立てがたおれたのにもとどおりにせんかったし。」
確かに最近よくハミガキ立てが傾いてた。それが原因だったのかと納得。
パパはカエルさんの台を使えば高い位置にあるハミガキ立てに手が届くんだから倒すこともないでしょと注意したとのこと。
パパの言うことは確かに正しい。
でも身長が最近伸びてお兄ちゃんになってきたし使いたくないんだよね。
出来るとこ見せたいんだよね。
とママは分かってるよアピールで
勝手に息子の気持ちを代弁。
そして調子に乗って提案してみた。
カエルさんの台は使わず片付けてもし倒れちゃったらカエルさんの台を持ってきてハミガキ立てを元に戻そうか?と。
「ううん、それなら最初からカエルさん使うわ」
「でもママがいつも早くしてっていうし使ってなかった」
ママ、全然分かってなかった。
呪いをかけられた息子は早くすることが何より大事なことだと洗脳され、台を使わずに片付けることで時間短縮に努めていたのだ。
結果ハミガキ立てを倒すことになるが、
そんなことは気にしない。
ハミガキ立てを元にもどすことは時間のロスだ。別になおさなくてもいいと判断したのだ。
息子は何も悪くない。
息子はただ私の言葉を忠実に守っていただけだ。
私が悪いのだ。
早くすることばかりを善しと考えているからだ。
今朝息子に謝った。
「早く、早くって言ってばっかでごめんね。」
「大丈夫、今度からカエルの台つかうよ」と
息子はにっこり言った。
呪いは案外早く解かれているようだった。