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現地語を話す事は相手にリスペクトを示すこと
Pは東欧の医学部に通っていました。
医学部2年生に上がり、その日Pは、初めての学生ビザの更新のために1人移民局にいました。
そこで手続きについて必要な書類などを説明されるのですが、どうにも分からん。
あまりにも私がブルガリア語を理解出来ないことに、移民局の事務職員は困ったのでしょう。たまたま居たのか、呼ばれて来たのかわからないけれど、ブルガリア人警察官2人が私の所に来て、別室に通されたんです。
てっきり、英語で説明してくれるのかなと思ったら甘かった。
『なんでお前はブルガリアに住んでいるのにブルガリア語を話せないんだ。話せないならブルガリア語を話せる人間を連れて来い!』
警察官の1人にブルガリア語でめちゃくちゃ怒られました。
腰に拳銃つけた警官にマジギレされた恐怖と、自分の至らなさから羞恥心で泣きそうな私を見て、もう1人の警官が英語で優しく、『次は必ずブルガリア語を話せる人を連れてくるんだよ。』と笑顔で話しかけてくれた事は今でも覚えています。
また、こんな事もありました。
内科の授業の終わりに、内科指導医が唐突に『ブルガリアは貧しい国だから他の国に軽視されている』と言い出しました。
『ブルガリアに商売の交渉をしに来ているのに、相手が英語圏の人間だから英語で商談を進めようとするのは失礼だ。』そんな事も言っていました。
ブルガリア語ってマイナー言語だし、マイナー言語を学ぶよりも、世界で話される言語で上位に入る英語を学んだ方が絶対いいじゃんと、留学当時は思っていました。
自分が日本に戻ってきて、日本の臨床現場で外国人の患者が受診した時に、日本語で適切に問診に答えらる外国人患者はそう多くない事を知りました。それでうまく意思疎通できなかった時に、日本人医師達が、自分の語学力を恥じたり、申し訳なさを感じている姿を見て不思議な気分になることがあります。
ここは日本なんだから日本語で説明して何が悪いんだ、って。
(自分自身が言葉が伝わらなくて心細かったから、外国人患者にはできる限り英語で説明するけど)
その国の言語を学び話す事は、その国の文化を知ることであり、あなたの国をリスペクトしていますという意思表示でもあるのではないかなと今は思っています。