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読書記録40『ショーペンハウアー欲望にまみれた世界を生き抜く』
梅田孝太『ショーペンハウアー欲望にまみれた世界を生き抜く』
(講談社現代新書 2022年)
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現代新書100(ハンドレッド)という新しいシリーズ。
①思想の概論
②その思想が生まれた時代背景
③今こそ読まれるべきという現在への応用について
①〜③というテーマを絞った「一気に読める教養新書」がアピールポイントのようだ。
たしかに、読みづらい箇所はあったが基本的には時間もそんなにかからず読み終えることができた。
(わずか100ページ強。発売日に買っていたのに2年近く買ってそのままにしていたのはよくない笑)
しかし、読了した後になんだかもやもやが残るのはなんでだろうか。どうしてもコストパフォーマンスとタイムパフォーマンスがちらつく。
「手軽に」「効率よく」「即効性」のようなものを提供しているような印象。
専門書を一般向けにしたのが新書。
(自分自身も学生の頃、新書は読み易いといわれてきたがしっかりと読めば難しい。決してお手軽ではない。)
その新書でさえ(今の社会では)時間がかかるから…という理由なのか。ファスト新書。youtubeでみられるまとめ動画のような印象を受けた。
ショーペンハウアー(ショーペンハウエル)の読書論からすれば、
「良書を読むための条件は、悪書を読まぬこと」悪書までとはないが…。
しかし、「芸術」と「共苦」について、とても感慨深く読ませてもらった。原書にあたろうとおもわせてくれるきっかけとなる「いかに生きるべきか」入門書でした。
(偉そうに原書といいつつ、もちろん翻訳書ですが。積読から発掘しようと思う。)
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自殺について幸福について(積読より発掘)
最近、どうなりたいではなく。どうありたいかが大事かなと。そんなふうに漠然と考えてしまいます。よくわからないけれど。
以下は備忘録。たしかに本の題名にあるように、「欲望にまみれた世界を生き抜く」のヒントというか…。今現在進行形でやっていることの答え合わせのような印象。
1、「意志の否定」…「表象としての世界」を支配しているのは「生きようとする意志」(=際限のない欲望。「にせもの」ばかりを追いかける。人生は「目的のない意志」に奉仕するだけの希望のないものになってしまう)である。自由というものはそれからの解脱によって実現するのではないか。他の思想家にはみられない独特なあり方=「意志の否定」を提示する。(p58-59)
2、「共苦」…「生きようとする意志」を否定する瞬間がある。他者の苦しみに関する「共苦」の瞬間=しようと思ってできることではない。そうすべきと押し付けることでもない。その瞬間には、自己と他者を隔てていた「個体化の原理」が崩れ、誰もが同じ「意志」であると直感される。この私と他者との区別が取り去られる時、同じ苦しみであるとわかる。しかし、自分を犠牲にして他者を救おうと体が動いてしまうこと、「共苦」は利他であり。完全な「意志の否定」ではない。(p63-67)
3、ショーペンハウアーの幸福論は、「どうすれば欲望を満たすことができるか」ではなく。むしろ「多くの欲望を満たす=幸福である」ということのお決まりの臆見解体をねらう。「より幸せになる」ではなく「できるだけ苦しみを少なくする」こと。(p83-84)
4、「内面の富」…ある人がいかなる内面をもっているのか。外面的なもの(財産や他者からの評価など)に気をとられがちだが「内面の富」をもっていれば外からやってくるものを必要とせず満足できる。うちに備わっているものこそ幸せの源泉となる。(P87-89)
5、ショーペンハウアーの哲学は「救済」の希望をすてていない。「意志」の否定であり「迷妄」からの解脱の可能性である。(p106)
6、ライバルは歴史哲学者のヘーゲル。ヘーゲルの哲学は「歴史の発展」を「精神の発展」の過程としてロジカルに説明する。人類の歴史も人間の成長のように発展し完成に向かっている(幼年期;感情や本能に支配された時期→青年期;理性のもった社会の一員としてふるまうように)。→ヨーロッパの多くは革命の夢は破れ保守反動体制へ。そしてヘーゲル哲学は保守反動体制へ利用されてしまう。「歴史的なもの」は、生きようとする意志が意味もなく生み出した「迷妄」にすぎない。(p108-109)
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