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小説の断片

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小説の一部です。 作品も場面もバラバラの断片なので、ご自由に解釈下さい。
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記事一覧

Fly me to the beautiful moon-prologue-

Fly me to the beautiful moon-prologue-

「おまえさん、本当の月を見たことがないんだろう」

祝祭の夜、皆で小さな炎を囲って夜空を見上げていると、村の占い師のばあさんはふと僕に言った。かわいそうに、と他の大人たちは顔を見合わせ、肩をすくめた。

僕はムッとする。

この村では子供が生まれる前の満月の夜、出産の無事を祈って祭りを開くのだが、僕はもう月や星を見るのに飽き飽きしていた。僕だって月を見たことくらいあるし、綺麗なのも知っている。

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アートモデルの地熱①

私は出版業界でOLをする傍ら、モデル業をしている。
モデルといっても、しがないアートモデルである。

画家の前で何時間も座ってポーズを取らされたり、
美大学生の前でヌードモデルをしたりしている。

かくいう私も美大の油絵出身だが、早々に自身の才能に見切りをつけて一般の仕事に就職した身だ。
絵と向き合うほどの精神力も持っていないとわかった。
しかしまだなんとなく創作の環境に身を置いていたくて、知り合

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断片1

いつか小説になる、断片その1。
青春とは、本物とは。
導入部のみ。

※私が物語を完成させるための覚書であり、本文の改訂前提の作品の一部となります。また、noteは横書きのみのため、縦書きテキストの画像の添付と致します。