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いいかい。仕事は‘’非モテ戦略‘’「競争を避けること」で劇的に楽しくなるのだ。

子供の頃はよく世界を救ったものだ。
たぶん滅亡の危機にひんした世界を20回以上は救ったんじゃないだろうか。

嘘じゃない。

ボクは世界平和の使徒であった。
世界を救う‘’勇者‘’だったのだ。

平日は学校に通いつつ、放課後は自宅で魔王を倒し、世界を救うことが日常だった。学生の本業が勉強することならば、ボクは副業として‘’勇者‘’をやっていたことになる。

学生と勇者の二足わらじってヤツだ。

ダーマ神殿での転職
バラモスとの闘い
消えた冒険の書

・・・なんのことはない。
ドラクエが大好きだったのだ。

東京オリンピック開会式で
スタジアムが暗闇で静寂せいじゃくに包まれる中、ドラクエの序曲の荘厳そうげんなファンファーレが鳴り響いた瞬間、

ボクはテレビにかじりついてゲームをやっていた頃を思い出し、
激しい感情の高ぶりによって身震いがした。

小学生の頃、気がついたらゲームに目覚め、
隙あらば毎日ファミコンをつけるようになり、ゲームにのめりこんでいった。

その副作用として、ボクは考え方のあちこちにドラクエ的なものを見出す大人に成長した。

そんな大人になってからこう思う。

‘’ボクにとってのドラクエは、スケールの大きな「人格形成」だったのではないだろうか‘’

ってね。

ドラクエの世界では、成果をだせば報酬がもらえる普遍の‘’法律‘’がある。

ドラクエは、勇者の能力が上がるにつれて、ゲームの難易度も上がっていくようにうまく設計されており、決して退屈せず、また打ちのめされることもない。

そして「成果」と「報酬」がセットになっている。とてもシンプルで、だけど絶対に裏切らない‘’法律‘’が、この世界にはある。

レベルを上げて強いモンスターを倒すのがその典型で、強ければ強いほどに倒せば報酬が大きくなり、その報酬によって強いアイテムを購入することができる。

そしてこの入手できたアイテムによって、

難しいが難しすぎない、易しいが易しすぎない、という絶妙なバランスが保たれ、
ボクたちはこれに常にやりがいを感じ、
ゲームにハマっていられるわけだ。

だから
モンスターに負けたら、悔しいから勝つまでやろうとムキになるし、

勝ったら、いい波が来ているから次のダンジョンでも勝てるんじゃないかと浮いた気になる。

気づいた頃には、勝っても負けても「あともう少し」を繰り返す無限ループにハマっちゃっているのだ。

そしてもう一つ。

なんといってもこの世界を動かす‘’裁量権‘’はすべて自分にあるという点が魅力に拍車をかける。

起動してからナニをするか。
どういう順番で、どれくらいのペースで、どれくらいの熱意でやるかは自分次第。

今日は強い敵を倒すことに挑戦してもいいし、レベル上げだけにのんびり丸一日費やしたっていい。
その世界でできることはたくさんあって、ナニをやろうとも自分次第で、

だれにもナニも言わないし、
だれからも強制されない。

まさに自分のペースで、
自分流の‘’世界を救う正義のヒーロー‘’を作り上げることができるのだ。

リアル世界の仕事は「成果と報酬」は必ずしも結びつかない。

職場には部外者から見ると
なんの役に立っているのか、どう評価していいのかわかりづらい仕事が、ものすごくたくさん存在する。

チームで仕事をしている限り
明確に成果を測れる仕事ばかりではないし、数字で見えない価値は単純にはかれやしない。

だから、ボクが昨日できなかった小さなことができるようになっても、誰からも気づいてもらえないし、

自分なりに成長しても、まわりから必ずしも評価されるわけでもない。

報酬のための努力は絶対条件だけど、努力すればそれだけ評価されてむくわれるわけではない。

キレイごとを抜きにして、
これは大半の会社のリアルである。

‘’嫌われる勇気をもて‘’
‘’承認欲求なんて捨ててしまえ‘’

すごい偉人は、周囲の反応に影響されることなく‘’自身の考え方や捉え方を変化させる‘’ように啓蒙けいもうするが、

こういう思想は現実的には、
たいていの人にとっては耐えうることができない、‘’悟りの境地‘’なのだ。

嫌われることができて、なおかつ長期間嫌われる状態でも笑顔で仕事ができる人。

ホームラン打っても誰からも祝福受けずに、自分で自分を認めてやることで笑顔になれる人。

こんな‘’悟りの境地‘’に達することができている人は、いったいどれだけいるだろうか?

ほとんどいやしないだろう。

現に、ちょっとしたことでも
「すげーな!」「オレにはできん!」「おめでとう!」
と言って拍手喝采はくしゅかっさいで握手までして大げさに褒めて褒めて褒めまくるボクのところに、

わざわざ、毎週決まって成果を報告しにくる社員が一定数いる。

そのなかには、自分の課ではない部下、入社10年を過ぎるような人、もっというなら50代の部下や役職上位者まで含まれており、

そう、
みんなみんなやっぱり褒めてもらいたいんだ、って、そう気付かされるのだ。

そして褒められてニヤけ笑顔で帰っていくその大人の姿は、ホームランを打ってベンチで出迎えられてハニかむ高校球児とまるでそっくりなのだ。

おじさん特有の「自分語り」をして申し訳ないが、少しだけ自分の話をさせてもらおうか

ボクはもともと社内の製品を分析、研究を行う技術職として働き始めた。そこそこ知名度だけはある会社なので、部署内には超一流の学歴を引っさげ、深い専門知識をもった上司、同僚、後輩が山ほどいる。

そんな環境に入り込んだ平凡なボクは、
一生懸命やっても当時はただただ歯車の1つでしかなかった。

成果を出しても気づいてもらえない。
当然、仕事には裁量権もない。

だから業務内容は好きなのに、どことなく面白くないのだ。もの凄い不快というわけではないものの何となくつまらない。

だからサザエさんはしっかり“嫌”だった。サザエさんというのは、「嫌なおばちゃん」以外の何者でもなく日曜の夕方はただただ憂鬱ゆううつであった。

それが入社して6年。転機が訪れた。

会社の新ビジネスとして
社内でつちかってきた内部向け技術を
外部に提供する事業を展開することになったのだ。もちろん、そうなるとそれを売りに行く‘’営業‘’が必要となる。

サラリーマンの技術職採用の中に、
‘’営業‘’をしたいなんて人は、まずいない。

そこで、もともと社交的なボクは、
お客様と接待で飲みに行けるようになれば楽しいだろうな、という不純な理由で手を上げた。

そこから、社内では誰も売ったことのないサービスを立案し、提案し、受注を取り続けるという孤独な戦いが始まった。

しかし、驚いたね。

当初は自分の給料分すら稼げていない。
新設された営業チームの数字は常に真っ赤である。

それなのに1件小口取引が決まるだけで、
そりゃもう会社は大絶賛。
その中核にいたボクは、年度MVPやら社長賞やら業績貢献賞…
あらゆる賞をまさに総ナメ状態となった。

「この会社でこのサービスを提供できるのは、ゆづおさんしかいない」

いつしか自分の価値が押し上げられると
早々にポジションが与えられ、発言力が増してくるようになった。

そのポジションを築いた後は、部下もどんどん増えていき、売上はそれに伴って拡大、自分で自分の仕事のコントロールをし、今の分野のスペシャリストとして長く働くことができるようになった。

ここまで来るのが大変だったけれども、一度売れる、仕事ができるようになると、加速度的に環境が変わり始める。

「成長が実感でき、評価をされる」
「一日の行動に裁量権がある」

あの日、あのとき、幼少期。

毎日イロイロと葛藤することはあるけれど、ボクはいま、ドラクエに夢中になったあのときの感情で仕事ができている。

需要はある。でも供給がない。そういう道はおそらく「美味しい」のだ。

「成長を実感でき、達成したら報酬(称賛)がもらえる」

ドラクエを例に出したが、
それに限らず幼少期から同様の経験をボクらは積み重ねてきている。

だから三つ子の魂で、その後の世界観を規定されてしまい、ナニにおいても成長を他人に気づかれたいと思うし、認められると嬉しくなるのだ。

ボクの実体験として、
仕事でこの感情を獲得しやすいのは、

人が群がって果実を奪い合う場所よりも、
人が集まらない地味な場所に落ちている‘’甘い木の実‘’を探すことである。

つまるところ
‘’非モテのボクが、モテるためにとる戦略‘’
のまるでそれである。

強いやつは人気のあるところに集まってくる。だから不人気のところに行けば、甘い果実を掴むチャンスは増えるのだ。

たいそうなことをする必要はない。

営業だったら、いいモノなのに誰も売れずに眠っているサービスを売るスペシャリストになるのだ。

技術だったら自分の専門分野を狭く取るのだ。「プログラミングがすごく上手な人」の世界で勝負するのではなくて、
「セキュリティの中でもサイバーセキュリティについて日本一詳しい人」
を目指すのだ。

需要はある。でも供給がない。
そういう道はおそらく「美味しい」のだ。

ボクはやりたくない、みんなやりたくない。

でも、そういう道を躊躇ちゅうちょなく選び続ける人が評価をされ
結果として仕事を楽しめるのだ。

競争は人間を疲弊ひへいさせる。
本来の目的を見失わせ、周りの競争相手を打ち負かすことだけに集中してしまう。

競争を避ける
地味なところで独占を目指す

この2つを意識するだけで、劇的に仕事は楽しくなるし、大げさに言えば人生のポジション取りが変わってくると、ボクはそう思っている。

・・・え?
なんでこんなマジメな記事?

「いや、お前ナニ真面目なこと書いてんねん!早くいつも通り下ネタ書かんかい!」

というボクの連れどものクレーム的なものは、ちょっと今日のところは黙っといてくれへんかな。

ごほん、、、
本日は、コンテストへのエントリー作品ですから。

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