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  • ご帰宅日記

    実話に基づいたメイドカフェでの記録(事実以外は)

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私があっとほぉーむカフェでコレチェキを注文する5つの理由(ワケ)

 初めてコレチェキと出逢ったのはいつのことだったか、はっきりと憶えていない。七年ほど前のことで、大学を辞めたばかりのわたしは一人でアメリカへ渡り、生き方を見つけるために放浪の旅をしていた。将来の不安で怯えていたわたしは、前よりもずっと飲むようになっていた。ちょうどハリウッド映画の撮影スタジオを見学した帰りで、大きなヤシの木が並ぶサンセット通りをあてもなく歩いていた。バーを見つけて入り、カウンターに腰をおろした。金髪の女性がわたしに近づいてきて注文を尋ねた。わたしはビールとフィ

    • 22年12月10日 コレチェキ

       夜、眠りにつく前、コレチェキに「おやすみ」と言ってみる。コレチェキはわたしのものまねをしない。続けて「愛してるよ」と言ってみる。コレチェキは表情を変えず、ぼやけたまま。わたしはコレチェキのことをますます好きになる……。                        ——「コレチェキについての詩集2」より  コレチェキは人生に似ている。目的がなさすぎる。だがわたしはそのナンセンスさが気に入っている。わかるかい? それにコレチェキは詩にも似ている。世界をまるっきり変えてしまう

      • 22年11月19日 コレチェキ

         わたしはビールを一杯やりたいためにお屋敷に行くのではない。むしろ二杯やりたいね。                          ——「コレチェキについての詩集」より  11月19日。わたしは体調がよかった、だからといって新しく何かを始めるような気にはならない。コレチェキをやるために秋葉原へ向かった。そして末広町駅の改札を出た瞬間に思った。ああ、しまった! 日曜日だった。車の出入りが規制された中央通りは観光客でごった返し。どこの店も混み合っていて、長時間並ばないとコレチ

        • 22年11月09日 コレチェキ

          【コレチェキ】 別名・愛と憎しみの世界。与える者と受け取る者に分かれて行うボード・ゲームの一種である。主に女性が与える者となり、自らの姿を写したフィルム写真に花やリンゴなどのちょっとした絵を描き加え、受け取る者へ贈与する。受け取る者は写真や絵の完成度に関係なく、与える者またはその者が所属する店に千百円を渡し、感想を述べる。始まりから二分間の経過でゲーム終了となり、受け取る者は贈与された写真を持ち帰ることができる。しかしそれが必ずしも勝利を意味するとはかぎらない。むしろこのゲー

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        • ご帰宅日記
          5本

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          22年11月03日 コレチェキ

          素晴らしいメイドとは、過労で死んでしまったメイドのことである。                            ——「コレチェキについての詩集」より     玄関口で靴の紐を結ぶのに15分もかかった。片側に5分、もう片方の足に10分。躰が重い。木曜日。コレチェキをもらいに行かなくてはいけない。このばかげた習慣をやめようという瞬間は何度もおとずれるのだが、しかしそうなるとわたしは休日に何をすればいいのだ? 映画? トーストと卵を食べにブランチへ出掛ける? おもしろくな

          22年11月03日 コレチェキ

          22年10月28日 コレチェキ

           メイドカフェに通いたくて通っているわけではない。むしろわたしはメイドカフェに行かないようにできるかぎりを尽くしていて、しかし行かずにはいられない。ヘミングウェイが闘牛なしではいられなかったのと同じ。熱心な信者が毎週日曜日に協会へ行くのとは全然違う。この違いを理解できない輩たちが芸術にトマトスープを投げつけている。  10月28日。わたしは表参道駅で銀座線に乗り換え、イヤホンを繋いでボン・ジョヴィの『スリッペリー・ウェン・ウェット』を聴きながら秋葉原へ向かっていた。髭をきれ

          22年10月28日 コレチェキ