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#ソシャゲひとり語り「アリスフィクション」
どうも、死に急ぐ生命の果実です。
今回は #ソシャゲひとり語り と題して。
遊んでいるソシャゲや気になったソシャゲをレビューがてら紹介するという記事です。
今回の題材は、株式会社ワンダープラネット開発・運営の「アリスフィクション」というタイトル。
ざっくり以下のような内容でお話していきたいと思います。
概要
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概要はサクッと公式サイトから。
・公開日:2022/7/27
・ジャンル:ヤミツキ光速パズルRPG
・基本プレイ無料(アプリ内課金あり)
仮想空間×ハイスピードバトルxパズル!
あなたは仮想空間[ALICE]へのログイン中に、謎のエラーに遭遇してしまう。
気づいたときには、記憶をなくした状態で[ALICE]のロビーに立っていた。
失われた記憶、突然現れた自身の妹と名乗る少女、そして[ALICE]で多発する『アバターロスト(廃人化事件)』。
それらを探る中での出会いを通じ、一見平和な仮想空間[ALICE]の裏で生じている問題を知り、この世界の真実に関わっていく物語。
公式サイト
https://alice-fiction.com/ja/
ゲーム内容
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同色のパネルを操作して消していくパズルゲームである。
が……まぁその前にいろいろと伝えねばならない。
本記事の趣旨
アリスフィクション、通称「アリフィ」という愛称で親しまれたこのタイトルが、本日2024年7月30日サービス終了することが発表された。
もっとも、半年以上前から新規の開発・更新を停止していたため、濃いめに薄々とは感じていたし、やっとサービス終了か……と思う気持ちがだいたい半分くらいはある。
そんなわけでいい機会だ、少し思い出を語ろう。
もっとも、あまりいい思い出がないのでやや辛口になるだろう。
ついてこられる人だけ、この先を読んでもらえればと思う。
前置きはした。準備はよろしいか。
リリース前からあった不安
アリスフィクション。
2022年7月27日リリース。
しかしながら、発表からリリース後しばらく、ユーザーの評価はやや荒れた。
そこに関しては、最初に説明が必要だろう。
開発運営を行ったのは、株式会社ワンダープラネットだ。
配信している代表作としては「クラッシュフィーバー」「パンドランド」が挙げられる。
これらに関しては以前別の記事を書いたので、未見の人は参照してほしい。
さて、主に関係が深いのは「クラッシュフィーバー」というタイトルだ。
クラッシュフィーバー、通称クラフィは、2015年のリリースの古株ながら、今もなお根強い人気を誇るコンテンツだ。
さて、アリスフィクションとクラッシュフィーバー、両者はどのような関係なのだろうか。
クラッシュフィーバー
クラッシュフィーバー、通称クラフィは「ALICE」という仮想空間を舞台にしたパズルRPGだ。
ポップでオシャレな世界観やデザインを強みに、リリース当時は大きく話題になった。
担当した初代プロデューサーである鷲見政明氏の代表作といってもよい。
この世界観などは、彼の創り上げた作品といっても過言ではないだろう。
一方で、アリフィはというと。
アリスフィクション
アリスフィクション、通称アリフィは「ALICE」という仮想空間を舞台にしたパズルRPGだ。
担当プロデューサーは鷲見政明氏である。
「ん?」と思った方はクラッシュフィーバーの項と見比べてほしい。
そう、世界観・ジャンル・略称などなどいろいろなものがまるかぶりなのである。
説明しておくならば、両タイトルは続編や関連作品ではない。
全く別の、関係ない作品だ。
プロデューサーである鷲見政明氏のこだわりが強く出てしまったのか、それともクラフィでのユーザーの評価や体験を引き継ぎ、あわよくば後継作品にしたかったのか。
なんにしろ、モチーフを同じくとする、非常によく似た別の作品なのである。
発表直後のユーザーの反応
リリース発表当時、主にクラフィを遊ぶプレイヤーからは不安の声が上がった。
当然である。
モチーフを同じくする実質新規のコンテンツがリリースされるのならば、「では我々が愛するクラフィはどうなってしまうのか。まさか実質の続編をリリースして、クラフィはサービスを終了するのではないか?」というものである。
ソシャゲの続編などは、多くはないが前例はある。
しかしながら、続編として新規コンテンツが出た場合、これまで所有していたキャラクターや課金はどうなるのか。
当然の不安である。
こういった思いから、アリフィ発表当初はユーザー界隈が大きくざわついていた。
結果的に、アリフィはモチーフこそ同じだが、まったく別世界の別作品だということが明らかになった。
しかしながら、アリフィが覇権を握ればクラフィに割かれるリソースは減らされ、運営は縮小・ないしはおざなりるのでは?といった不安は拭いきれず、これにより好意的に受け入れられたとは言い難い。
すでに受難のあるスタートである。
アリスフィクションが目指していたもの
クラフィが当時の覇権作品であるパズドラなどをモチーフとしていたように、アリフィはプリンセスコネクトやブルーアーカイブなどのような質実剛健なストーリーと、キャラクターごとエピソードの深掘りが目指された意欲作であった。
もともとキャラクター描写やストーリーの薄さはクラフィの課題であり、それに対しての運営、ひいてはプロデューサーのアンサーとも取ることができただろう。
「クラッシュフィーバー」という呪縛
しかしながら、リリースされてもやはりクラフィと比較されることは多かった。
これはアリフィの不幸……ないしは、ユーザーの反応を予測できなかった運営の悪手でもあると言えただろう。
実例として、キャラクターの造形に関して挙げてみよう。
両タイトルには、歴史上の偉人などをモチーフにしたキャラクターが登場する。
(まぁFGO的なものを想像してもらえればいい。通じるだろうか)
しかしながら、同じ歴史上の人物をモチーフとしながらも、解釈されて生み出されたキャラクターは、まったく解釈の異なるものであった。
いろいろ実例はあるが例として「アルキメデス」というキャラをあげてみよう。
こちらがクラフィのアルキメデス。
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こちらがアリフィのアルキメデスである。
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別作品であるから造形が別なのは当然だが。
モチーフが同じなら、その根底にある要素からキャラ付けがなされるため、ある程度近い属性を持ったキャラクターが生まれるのではないだろうか。
ところが、見ていただければ一目瞭然のように、キャラクター造形は異なる。
世界観・モチーフがかぶっているが、別作品ゆえに敢えて似ないように設計したのだろうと邪推してしまう。
つまるところ、別作品であるアリフィは、自社の過去作である(そしてプロデューサー自身の過去作でもある)「クラッシュフィーバー」の呪縛を強く受けているのである。
なお、のちにクラフィとアリフィは自社コラボを行い、「似たような違う世界観のゲームの、同じモチーフをもとにした解釈の違う別人の同名キャラが、同じゲームに登場する」というわけのわからないことをやっている。
実際遊んでいるファンからしたら些細かもしれないが、客観的にはすげぇわかりづらい。
分けろ。分別をつけろ。
切り分けられないなら、そもそも同じような世界観設定を使うな。
キャラクターと世界観とコンテンツが、過去作の呪縛を受けて雑な感じになっていることに関して、言いたいことはこんな感じである。
ゲーム本編について
ヤミツキ光速パズルRPG?
前述した通り、本作はパズルRPGである。
バトルの際はパズルUIで入力を行うことで、戦略性のある戦闘を楽しめる……という触れ込みである。
が、正直パズルパートはあまり覚えていない。
なお、公式サイトでどんなゲームなのか調べようとしても無駄である。
公式サイトでは世界観・シナリオ・キャラクター・主題歌の言及はあるが、肝心の「どんなゲームなのか」に関しては一切記述はない。
恐らくだが、世界観やストーリーを重視するあまり、パズルパート自体は運営からは軽んじられていたのではないだろうか。
「キャラクターがよければ、物語がよければ、ユーザーはついてくる。パズルなんてオマケだ。」という考えが透けて見えるように感じるのは筆者だけだろうか。
さて。
パズドラあたりから系譜を刻むソシャゲのパズルとは、解けないストレスを対価に、解けたときの快感を味わうジャンルである。
ぶっちゃけていうならば、頻繁に、毎日、とにかく遊びたいというジャンルでは、ない。
アリフィはやや複雑なルール、ちょっと入力のUIがよくないパズルを、1プレイでそれなりに長い時間を要求される。
一回のバトルに3~5分程度だろうか。まあ、パズルとして遊ぶには長い。(そして操作性も悪い)。
幸いオート機能もありパズルは自動で進行することもあってか、肝心のゲームの心臓部に関しては、トータルで言えばマイナスの印象しかない。
デイリーの消化にとにかく時間がかかるというイメージだ。
そのパズルを、本編・イベント・アンダーグラウンド・素材集め・バトルアリーナなどなど、とにかくたくさん要求される。
のちにいくつかのコンテンツではスキップが導入されたが、それでも毎日それなりに疲れるデイリーの消化を長時間かけて行うのは、あまりよいゲーム体験とはいえなかった。
ゲームの核となるパズルパートに関してはそんなところだろう。
ストーリーとキャラクター
次にもうひとつの核でもあるストーリーとキャラクターだ。
前述もしたが、アリフィはワンダープラネットの意欲作である。
本格的な長編ストーリー。
設定が深いキャラクター。
そしてそれらが織りなす美麗な戦闘アニメーション演出。
ボイス、モーションなどなど。
である。
であるが。
ここにいろいろなもののしわ寄せがきていた感は否めない。
ストーリーは、本編・キャラクターエピソード・イベントの三本柱から構成される。
しかしながら、まず物議を醸したのがキャラエピソードである。
リリース当時、キャラエピソードを見にいったときは驚愕したものである。
実装されているキャラクターに「キャラエピソードが未実装(のちに追加予定)」なのである。
そんなことある???
一般的には、基本的なサブストーリーなどは実装して出すものだが……。
未実装・完パケしてないものをリリースした。
この時点で不安がよぎる。
なお、サービス終了が告知された2024年7月30日時点、キャラエピソードがあるのは、全7キャラ。
全部で70キャラ以上いるうちの、7キャラにしかキャラエピソードが実装されていないのである。
……今、改めて数えなおしてみてちょっとびっくりしている。
運営体制、運営計画などはどのようになっていたのだろうか。
コストの問題と回らない運営
アリフィの作り自体はリッチである。
戦闘時のアニメーションも綺麗であるし、ボイスもついている。
しかしながら、そうなると問題なのはコストである。
ひとりの新規キャラクターを追加する際のコストが跳ね上がるであろうことは想像に難くない。
しかしながら、リリース段階ですでに破綻をきたしているのである。
キャラクターの追加ペース自体はゆっくりだが、それはそれとしてキャラクターの深掘りはなされない。
すると、(キャラクターエピソードがないため)設定の薄い、いまいち感情移入できないキャラクターが次第に実装されていく……ということになる。
キャラクターとワールドメモリ(※強化カード的なもの)が主要な商材だが、これは致命的であった。
キャラクター描写がされなければ、ユーザーはキャラクターに魅力を感じないし、購買意欲もわかない。
しかしキャラクター描写もされなければ、キャラクターの追加自体も遅い。
キャラクターが追加されないわりに育成素材や課金石、ガチャチケットなどは潤沢に配布されるため、すぐにリリースされているキャラクターは揃い、育成も完了してステータスは上がり切り、強化する需要もなくなる。
すべて育ってしまえばユーザーの手持ちは上辺で均一化し、ユーザー同士の対戦するアリーナやエンドコンテンツもその機能を果たせなくなる。
時代の流れに従って作りをリッチにしたのはよかったが、いかんせんコンテンツの追加のスケジュールとコスト管理がおざなりだった。
ましてや、キャラクターやストーリーがコストの関係で安定供給できなかったというのは……なんとも複雑な心境ではある。
制作の進行や懐事情は永遠にわからないので、断言は避けるが。
作りの雑さ
蛇足にはなるかもしれないが、そもそも作りが甘いところも多々見られた。
イベントと同時に終了して気付いたときには手遅れの交換所や、まとめて選択できずいちいちタップしなければならない強化系のUIの使いづらさ、リッチなわりにスキップできない演出など、いろいろなところがストレスになる。
制作や運営が不慣れならまだ言い訳の余地もあるが、クラフィでヒットを飛ばしたプロデューサーが担当していたとなると話は変わる。
前述したデイリーの消化に非常に時間がかかるというのもそうだ。
いろいろな個所で作りが甘く、ユーザーの要望や運営指標を見ていないのだろうかと疑念を抱かざるを得ない。
全体的に「見た目はいいが、中身が伴っていない」という印象を強く持ってしまった。
まとめ
そろそろ話をまとめよう。
アリフィは色々な意味で恵まれなかったコンテンツだといえるだろう。
リリース前から同社開発の別タイトルであるクラフィのユーザーには拒絶され、そのあともしばらく断絶は続いた。
意欲とは裏腹にボリュームやクオリティ面で多くの課題を残した。
コンテンツの新規作成にかかるコストは高く、現状のスタッフではうまく運営や施策を回すことができなかった。
不遇である。
ワンダープラネットとしては、おそらくシャレにならない損失であっただろう。
運営は後に更新を停止する。
そのおかげで経費を削減し、黒字化したとのことだ。
ユーザーからしたら笑えないブラックジョークである。
そしてサービス終了の決断をすることになる。
新作のパンドランドや、クラフィは今のところ順調で、影響を受けていないようには見える。
しかしながら、クラフィの運営で得た知見や課題感を、後発であるアリフィで生かすことができず、結果的に短命で終わったというのは会社として、プロデューサー・開発チームとして、危機感として持っておいてほしい……と切に願う。
いろいろ書いてきたが、結局なにがクリティカルな問題だったのかは、ユーザーからは永遠にわからないのである。
クラフィやパンドランドをはじめ、既存のサービスや今後に、アリフィで得た知見を活かしてほしいものである。
ということで、本日僕からは以上です。
後日譚
本日2024/9/30 15:00をもって、本サービスは終了した。
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それはそれとして、同日にこのツイートが流れてくるのはどうなんだ。
人の心とかないんか。
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