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Sephoraの存在はビューティー業界をどう変えたか?

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2023年7月18日配信 Vol.123より

Briefing

今やTmallに次ぐ、世界第2位の化粧品リテーラー・Sephora。その歴史は、1969年にフランスでオープンした香水店にまで遡る。フランス最大規模の香水店となった同社がLVMHに買収されたのは1997年のこと。その翌年にアメリカに進出し、化粧品の販売の仕方、さらには小売りのあり方にまで変革を起こし続けてきた。

当時Sephoraの新規性として評価されたのが、高級ラインの化粧品をセルフサービスで気軽に買えるようにしたことだ。当時、高級化粧品の80%以上がデパートで販売されていたが、若者層はもっと気軽に試したり購入したりできる場所がほしいと不満を抱いていた。そこでSephoraは高級化粧品のキュレーションストアとして店舗をオープン。今では、デパートのシェアは19%にまで低下している。

有名な高級ブランドだけでなく、新興ブランドも積極的に取り扱うことで、アクセラレーターとして支持されているのもSephoraの強みのひとつだ。CEO自ら新興ブランドの創業者に会いに行き、次々と有望なブランドを発掘。消費者にとっても、まだ知らないユニークなアイテムやブランドと出会える場として支持されてきた。CEOによれば、競合であるUlta Beautyでヒットしたブランドの90%以上は、Sephoraが取り扱いをはじめたことで人気が出たものだという。

また、様々なブランドをとりあつかうキュレーションストアならではの取り組みもSephoraの成功の要因の一つだ。例えば、結婚式やプロムなどの特別なイベントに特化したメイクアップサービスは、ニッチなブランドを複数取り扱いっているからこそ提供できるもの。その他にも、AIを活用して肌の色にあったファンデーションを無料診断してくれるサービス「ColorIQ」を2012年から提供しており、今では週に75,000セッション、年間400万セッションを記録するほどの人気を博している。さらに、LGBTQを支援するキャンペーンや、棚の15%以上を黒人創業者のブランドに使う「15 Percent Pledge」など、社会課題にも積極的に関与し、若者層からの支持を集めている。

こうしたひとつひとつの取り組みが顧客にとって信頼へとつながり、Sephoraのブランドを強くしているとCEOは語る。一方で、Sephoraの新規客の80%は実店舗で獲得していることから、2021年には老舗百貨店のKohl’sと契約し、今年中にインストアショップを900店舗にまで拡大するなど、店舗数の増加にも力をいれている。さらに、オムニチャネルや店舗体験の向上にもさらに注力していきたいとCEOは語っている。ビューティー業界に変革を起こし続けてきたSephoraの今後の戦略にも、期待が高まる。

How Sephora Reinvented Beauty Retail

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