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ブランド価値と「時間」の関係

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2023年8月7日配信 Vol.126より

Briefing

コンシューマー領域のコンサルタント兼投資家であるDan Hockenmaierが、自身のブログでブランドの価値を形成する「時間」について解説している。

彼は記事のなかで、時間軸を「会社の歴史」と「産業の歴史」の二つに分けて紹介している。

出典:Brand = Accumulated Customer Happiness

IT業界のように技術革新によって新しく生まれた産業は、製品やサービスをよりよいものを、より安く、より便利に提供することで競争している。しかし徐々にその技術が一般化することによって機能による差別化は難しくなり、ブランドイメージが「選ぶ理由」になっていく。今、Louis VuittonのバッグやBud Lightのビールが選ばれるのは、機能が他のブランドより優れているからではなく、そのブランドを選んだときのイメージがよいからだ。

そのため、産業自体の歴史の長さによって、企業の歴史を伸ばす(=競争を勝ち抜き、顧客に選ばれる)ための戦略も変わってくる。

古い産業の場合は自分たちのブランドに合ったメッセージを発信しつづけることで、顧客が想起しやすいブランドをつくることができる。一方で新しい産業の場合は、まず顧客に与える価値の最大化を目指すべきだとHockenmaierは主張している。

なお彼によれば、それぞれの「歴史の長さ」は、企業の場合は何十年、産業の場合は何世紀の単位で考えなければならないとも書いている。この定義をもとに考えると、D2Cを含む多くのブランドは「古い産業 / 新しいブランド(Old industries, young companies)」となり、他のブランドと差別化できるだけの製品やブランドの特徴が必要ということになる。

新興ブランドはマーケティングよりも製品に注力すべきという主張の一方で、テレビCMやインフルエンサーマーケティングが不要なわけではないとも彼は書いている。ただし、多くの企業が費用対効果を意識していないことが問題であり、効果がでるまでに長い時間がかかるとしても、きちんと投資に対するリターンを設定し、分析することが重要だという。

ブランディングやマーケティングの事例を参考にする際は、こうした観点から自分たちと似た立ち位置のブランドを選ぶことも重要と言えるだろう。

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