コロナ禍で卒業制作展が出来なかった学生を町工場とデザイン会社で応援する。
靴下を楽しむスニーカーが2年越しでようやく!
靴下もタビオさんのサポート頂き、
オリジナルソックスもセットで完成。
3月11日11時にマクアケにてスタート
皆さん何卒よろしくお願い致します!
で、さかのぼること、2年前。
2020年は僕にとっても色々な事がありました。
毎年2月のコロナ禍でのギフトショー展示会。
首からみんなクレベリンかけて、マスクもつけてる人、つけてない人、お店もつけるのを躊躇ってるそんな時だった。
僕はありがたいことに3月にカンブリア宮殿に出させて頂いた後すぐに緊急事態宣言が。さあこれからと言う時に店は閉めないと行けない、各地の店も同じく。放置していたSNSで何とか持ち直すために何でも発信していこうとTwitterであれこれ始めていた。
その頃はSNS上には同じような戸惑いや、悲鳴や嘆きな呟きが乱発。自分も正直気が滅入り添えになってだけれどその中で学生達のやるせない感情もたくさん目にした。
「卒業制作展が出来ない」
大人も2020は前例のない中で身を守るためにどうして良いかわからなかった。学校だって休めば良いのかわからない、とにかく集まる系の事は考え直す間もなく、中止しよう!延期しよう!な感じだった。
僕も教えている側でもあるので卒業制作展が学生がどれだけ気合を入れて挑んでいるか知ってるし、お披露目の日が終わるとドッと疲れるくらい燃え尽きるくらいパワー注入してるのも見てる。
Twitterにはそんな書き込みも散見できた。
その中で桑沢デザイン研究所の学生たちが準備していた前日に無くなった展示のことを呟いていた。沢山の作品が「#桑沢2020」のタグで発表されてた。皆さんも共感して次々いいねを押してる作品もあった。
そこでふと見つけた投稿が…
ヘェ〜と思って最初は見ていたのですが、
リプ欄に沢山の皆さんが応援していてこういう形で卒展見せるのも面白いなーめげずに頑張ってるなーと。
「商品化して欲しい」という色々な方からのリプが増えていたので、誰かそのうち「ウチで企画採用したい」って工場か会社が出てくるだろうと続きを見てたのですが、その流れは見えず…
「ウチで作りますよ(請け負いますよ)」な問い合わせはあったそうですが、靴作りはラストと呼ばれる型を展開サイズ分全て作ることになるので初期コストが膨大になるそんな企画は学生も金は出せないだろうし…。僕らだって躊躇する。
そんな気軽に到底実現なんて無理だろうなと。
で投稿されてる学生さんも僕の直接の知り合いでもないので、なかなか声かけするのは悩みましたが、作る工場に心当たりがあるよと、メールして繋がってみたら興味あるとのこと。ほんじゃ工場と彼女を繋いで進めて行こうと。
(コロナで暇だったこともあって)
協業してくれる工場に話に。
で、そもそも各地で靴工場を見ていた流れだと、
靴作りって型の投資も結構な感じになるのでなかなか新企画は難しい。特にこの手のスニーカーはバルカナイズド製法と言って大掛かりな設備がないとできないスニーカーなんです。
この作品はすぐに作ってくれそうな工場はすぐに頭に浮かんでいたけれど、一緒に在庫を負担し合って協業できるのかはわからなかった。
その前年に出会った工場を思い出した。
大阪商品計画という大阪府の立て付けの町工場と支援のものづくり事業のアドバイザーをしていた際に婦人靴の低迷を男性市場でも展開できるスニーカーを作った工場さんの行動力と新たな挑戦してたこと。
婦人靴の業界は数年前から業界はかなり厳しい状況にあり、それを彼は世界中の靴作りを動画やネットで調べまくって自分達の工場で作れるスニーカーにたどり着いたそうです。セメンテッド製法と呼ばれる婦人靴の技術を応用して修理もできるよつな仕様に。
婦人靴の工場も何社か見てきて、経営が厳しくてもなかなか次の一手が打てない難しい業界であることも知ってた僕は彼が作ったスニーカーは本当に素晴らしい商品だなと感動しまくって本人にも素晴らしい!!を連呼してたくらい。
で、さっきの学生さんと引き合わせて上手く何かできないだろうかと専務の上田さんにお願いしたところ快諾頂きました。靴業界なかなかコンサバな方も多い中で二つ返事で会議が進む事は無い事が多いので嬉しかった。
一方で学生さんと言っても既に卒業して就職されてしまってるので、なかなか連絡も難しく、おまけにオンラインでしか繋げない。色々最初のすり合わせは時間がかかりました。
彼女の作った作品モデルに合わせて試作がすぐに上がってきました。
試作ができて初めて靴の奥深さを知ることに。
日々なんとなく見ていたスニーカーでしたが、職人さんからMTGで
紐の太さや紐穴とハトメがの有り無し、でその大きさでも随分印象が変わること。
(確かに言われてみればカジュアルな感じが。。。コンバースな雰囲気)
靴作りの現場の技術はその先の見え方とも考えて細かな調整がいくつも現場にはあるんだなと。そういった設計バランスの工程が実は時間がかかりましたが自分達もかなり勉強になりました。
今度は窓部分の細かな調整作業に。
ここからウチのデザインチームが何度も職人さんとのやり取りが続きました。
で今度はソックス部分の開発に。
今回はグラフィックに関してはセメントで設計していこうということで
どこかないだろうかと探していたところ、知人から大阪のTabio(タビオ)さんを
ご紹介いただけることに。靴下の業界もコロナで苦しんでいたそうで、この企画に対しても色々サポートいただけることになり、1足からオリジナル柄で作れることになりました!
というわけで靴下はセメントプロデュースデザインでデザインサポート。
この先は下記サイトからご覧くださいませ。
みなさま宜しくお願いたします!!
学生のアイデアをプロが本気でサポートできる機会もコロナ禍だったからこそ。
普段の社会生活下では生まれなかった企画だなと思います。
遠隔でのものづくりも色々難しい面がありましたが、ご一緒して下さる方々の熱量と行動力に感謝しております。誰かの困りごとをデザインで解決していく。
デザインとは形を作るだけではなく、関係も作っていること。
この企画は弊社のそういった部分が表現できた「デザイン」仕事だと思いました。
お困りを抱えている皆さんと今日も伴走していこうと思います。