【静岡豪雨】災害があってからわかること。情報戦すぎる。
台風15号の大雨による水害で、土砂崩れ、浸水、停電、断水と静岡市は今なお大きな混乱の渦中にあります。23日夜、カーテン越しに激しい雨音を聞いていたとき、こんなことになるなんて思わなかった。発生から1週間、災害が身近に起きて初めて分かったこと、わからなくて困ったことをまとめておきます。明日は我が身と静岡へ心をお寄せいただけると幸甚です。
災害は大規模でも被害は局所に起こる
9月23日(金・祝)、台風15号の影響で中部・東海エリアに線状降水帯が発生、静岡県の広範囲で記録的な大雨に。ところが被害の大きさは場所によってかなりの濃淡があります。これがすごく厄介なことだと理解したのは、半日以上経ってから。
静岡市では、 23日午後から雨が本格的に強くなり、夜中ずっと様々な警報、警告、避難指示がでていました。24日未明になってやっと弱まり、迎えた朝。あれ、まだ停電してる?冷蔵庫の中身が心配だ…。14時頃にやっと停電が解消し、少し落ち着いてからSNSを眺めているうち、自分達はましな状況で、他の地域は今、すごく大変なんじゃ、と気づき始めました。
他にも、オクシズの村々が孤立してる?!清水の浸水もひどいけど、断水、すぐに治らないんじゃない?!
ざっくりまとめると、発生当初こんな状況でした。
ここまで把握するにも時間がかかりました。なぜなら報道されていなかったし、場所によって状況が異なっていて、twitterで拾う情報が断片的。同じ清水区でも断水しても浸水してない場所は比較的落ち着いてた様子(当初は)。災害は県単位だけど、被害は町内会単位。
災害時の情報はまずTwitterで広がる
24日の夜、「災害情報のリアルはTwitterで流れる」を実感しました。
報道されない被害状況や、断水地域の給水場所などの情報はほぼTwitterにしかありません。散在する情報に混乱する状況を見かねた方々が、24日~25日にかけて様々に情報を集約してくれました。
地元の高校生がTwitter上の情報から給水所マップをつくってくれたり(他にも2-3この地図が立ち上がりました)、
支援情報を構造的にnotionでまとめる方も。
私も細々とTwitterのモーメント機能で支援情報をまとめたりしていました(断水復旧の目途がたった28日以降は更新停止)。
ところが、静岡市公式アカウントから市長メッセージが投稿されたのは25日19時でした。断水から1日半経っており、「遅すぎる」とのネガティな意見が多くなってしまいました。
行政のSNS運用の難しさがあったと思います(悪いのは仕組みです、人ではない)。不眠不休で災害対応されていた役所の方がいたことを思うと、そんな人たちが責められるのは辛い。それでも、生きるための水を求め、必死でtwitterから情報を拾おうとしている人たちに、もう少し早く市役所からの投稿があれば、かなり印象が変わっていたのでは…と思わずにはおられません(悪いのは仕組みです、人ではない(再掲))。
25日は繋がりにくくなった公式サイトのキャプチャーをtwitterに転載してくれる人がたくさんいて、素晴らしい善意溢れる機転に感動しました。ただ、有志に任せた公式不在のキャプチャー拡散は情報鮮度や改ざん・デマリスクなども付きまといます。そういう意味でも公式アカウントからの発信は(たとえ一見地味でわかりづらくとも)とても大事です。これについてはもっとたくさん感じたことがあるので、別投稿で改めて。
ゴミ捨て難しい問題はのちにより大きな問題になるのでは
大雨から1週間たった今日(土曜日)、微力ながらボランティアに参加してきました。浸水被害を受けたお宅の泥のかき出し作業。ヘドロをスコップであつめ、土嚢袋にいれて道路に並べる。粗大ごみや金属ゴミ、木切れなど分別して並べる…。エリア一体の道路に土嚢や粗大ごみが溜っていきます。ところがこの処分をどうすればいいのかが不明瞭。家から出したら完了だと思っていたのが甘かった。多くは捨て場に持ち込まなければいけない。でも浸水エリアの多くのご家庭では車も水没したので足がない…。
家主さんやボランティアメンバーと悩んでいたら、近所の方が軽トラを回してくれて、錯綜する情報に揉まれつついくつかの捨て場をまわることに。
その後さらに土砂を回収してくださる車が回ってきて、土嚢を引き渡すことができました。あれ、自治会の方だったんじゃないかなぁ(詳細不明)。ちなみに水没し廃車確定した自動車については自前手配のレッカーらしいのですが、伺ったお宅の場合は車輛保険で対応できるらしく処分の手当てがたっていました(保険きかない人達はどうするの?)。
どのごみを誰がどのように処分するか、情報が入り乱れていました。週明けからは、大型の仮置き場が開設されるようなので、とりあえずそちらへ運び込めばいいのかな。
しかし、疲れ果ててる上に車もないし正しい情報もわからない今の状況では、おそらく近日中に怪しい悪徳業者が紛れ込んで、法外な金額で処分を請け負ってどこかの山に産廃したり、が目に浮かびます。だいたいの災害後にはおこる被害。情報と支援の遅れが、悪の入り込む隙間を作ってしまうと理解しました。
まとめ
災害発生直後、局所で状況が変わるため、自分たちのおかれた状況がわからない不安から、被害情報の共有が盛んになります。朝になって道向こうだけ冠水してたり。大きな被害のなかった家と浸水・断水ダブルパンチの家が数百メートルのなかに混在してたり。
その後、すぐ、喫緊の困りごとに対するニーズが高まります。今回の場合は断水していたので、飲料水やポリタンクについての情報がまわり、少したって、お風呂や洗濯ニーズ。半日単位で求められる情報が移り変わります。
そして見かねた有志の方々が情報発信したり、救援物資の受付・配布を請け負ったり。ものすごいスピードで善意が駆け巡っていました。本業そっちのけで対応してくださった企業さんのことは忘れない。また別途まとめておきたいと思います。
一方で清水区に関する大量のtweetが流れている中、オクシズなど中山間地の情報が出てこない。高齢者ばかりの地域も多いため、誰もSNSをしていない。しかも道路が寸断、ライフラインも途絶していたり。支援が必要なのにその声が届いていないケースが…。
災害時、twitter×善意の強さに感動しつつも、情報格差が、支援の遅れやその後の詐欺被害に繋がるリスクを身をもって体感しました。いくら情報をまとめても、全部インターネット上なんだ。インターネット外へ届ける方法は、結局人と人のつながりしかないなぁ、とサマーウォーズのような感想で止まっております。これは継続的に考えていきたいテーマです。
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