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【D】こんな形で終わるのか

 「ドラゴンズファンに最も愛された男」が星野仙一元監督なら、「ドラゴンズを最も愛した男」は立浪和義監督のはずだ。理論とガッツを兼ね備えた完璧な選手だった男が、指揮官に就任したのは3年前。誰しもが10年続くBクラスを止めてくれるものだと信じていたが、結果は最下位が2年続き、今年も5位以下に終わる事が濃厚となっている。その中での辞任発表、立浪監督だけが悪いのだろうか。今回は、立浪竜が振るわなかった原因を書いてこう。

All for 中日新聞!

 立浪監督のスローガン「All for victory」を実行しようとしたのは監督、コーチ、選手だけだったのではないかと感じてしまう。フロント陣は暗黒時代の諸悪の根源だ。高木守道監督で勝てない、谷繁元信監督で勝てない、与田剛監督で勝てない…これが10年以上続いている。今回、生え抜きスターの立浪監督が退任する時くらいは「中日新聞で」そのことについて触れて欲しかったのだが、「全権監督の限界!」や、「トップダウンの弊害!」といった現場批判のコラムしか掲載されていないのだ。全くおかしな話だ。それを許可していたのは同じグループの中日球団でしかないのに、自分たちは悪くないと報道しているのだ。

 ここでは書いていなかったが、実は昨年の立浪監督続投理由にも少し怒りを覚えていた。最下位ながらも、岡林勇希や石川昂弥といった若い選手が育っていた。それなのに続投の理由は「観客動員が好調だから」というもの。空いた口が塞がらなかった。補強も中田翔は立浪監督の理想通りだったようだが、外国人選手やFA補強には全く現場の意見を反映していなかったようだ。全権監督とはいえど、親会社にとって都合の悪い部分は会社の意見を押し通す。全ては中日新聞のために。そういった姿勢を変えない、隠そうとしないうちは、いくらいい選手がいてもBクラスだろう。

無意味ではない3年間

 この3年間、チームの順位は変わらなかったが確かなものは出来上がったはずだ。オウムのように「気合いを入れろドラゴンズ!」と繰り返す中日応援団や立浪監督の退任で狂喜乱舞している方々の頭の中を割って見てみたいものだ。

 まず書かなければならないことは若手陣の対等だ。前任の与田監督時代には、他球団が羨むような若手は一軍にいなかった。投打ともに三十路前後の選手が中途半端な成績を残していたが、立浪監督になると面白いように若手が活躍。野手では岡林勇希、細川成也、石川昂弥、田中幹也、村松開人。投手では髙橋宏斗、清水達也、松山晋也と一軍で一流の成績を残す選手が面白いように出てきた。落合博満監督が「勝つ天才」なら、立浪監督は「育てる天才」だったかもしれない。

 ただ、これだけ負けが混むと精神的にも負担は大きいはずだ。週刊誌やOBからの采配批判、SNSでの誹謗中傷、ファンのヤジ…「勝つ」ということ以外の結果は出ていたのだから、ここまで叩くことは無いはずだ。それを放置した親会社も親会社。立浪監督が辞意を明らかにした9/18から、僕は中日と距離をとることに決めた。新聞は読まない、グッズは買わない、球場には行かない。もちろんファンクラブも退会する。中日球団が変わり「本当に応援できるドラゴンズ」が戻ってくるまで、少しの間待とうと思う。

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