【Bs】エースが抜けても大丈V?オリ若手がすごい!
日本シリーズの終焉から早くも1ヶ月が経とうとしている。甲子園球場、完全アウェーの中でオリックスファンが熱唱していたチャンステーマが僕の頭から離れない。その歌い出しが「栄光と挫折を、何度も繰り返そうと」という歌詞。来季のオリックスは大黒柱の山本由伸に加え、この3年間先発ローテーションの苦しい時期に幾度となくチームの危機を救ってきた山﨑福也までもがチームを去ることとなってしまったので、「栄光」から「挫折」へと転じてしまうかもしれない。しかしながら、去る選手もいれば台頭する選手もいるのがこの世の常である。今回は、そんな台頭の予感を漂わせている3人のオリックス有望株について書いていくこととしよう。
馬力はパ屈指?山下舜平大
この間の山﨑福FAに対する投稿でも綴った通り、将来のオリックスを背負って立つのは山下だと考えている。コロナ禍で消し飛んでしまった高校野球の青春を、NPBの舞台で存分に晴らして欲しいものである。
彼の素晴らしい点はやはり剛速球である。調子がいい時の捕手のミットをめがけてズドンと来る球は威力が凄まじく、パの並み居る強打者たちをもってしても前に飛ばすのがやっとと言った感じである。フォームも近年流行りのショートアームで、トップを素早く作ることが功を奏して制球力も安定している。今季は投球回を3桁に乗せることができなかったものの、9勝を挙げて防御率は1.61。体力を度外視すると、既にロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平に肩を並べているのではないか。来季高卒4年目、まだまだ大卒新人よりも年下の有望株。体力をつけて、勝ち星を倍近く挙げて欲しいものである。
齋藤響介の強みは投げっぷり!
2人目に紹介するのは、来季が高卒2年目の齋藤である。今季は最後の最後でプロ初登板。不祥事で主砲が抜けた西武相手だったものの、堂々と名だたるベテラン選手と対等に戦っていたのが印象に残る。球速は140キロ台の中後半とパ・リーグのエース達と比較するにあたっては少し物足りなく感じる数字ではあるが、球速以上に速く見えるスピンのかかった球を投げ込んでの戦列デビューとなった。
彼の強みは、やはり投げっぷりの良さだ。とにかくよく腕を振って強い球を投げるのだ。コースは少し高いことが唯一の懸念点ではあるものの、それを差し引いても「あ、勝てる投手になるな」と思わせるような何かを持った投手である。来季はまずゆとりを持った起用法となるだろうが、それでも貯金を期待しようではないか。
吉田輝星、復活の鍵は「脱・金農」
山下、齋藤と生え抜きの投手を紹介してきたが、最後に日ハムから移籍の吉田について書いていくこととしよう。彼はご存知の通り、平成最後の甲子園にて金足農業高のエースとして旋風を巻き起こした。連日の完投で立て続けに大金星を挙げ、1人で甲子園の決勝まで投げ抜いた姿はまさに勇ましかった。この当時の彼の信条は高めの直球。ホップする球に打者のバットは空を切ったのだ。そんな実績を引っさげて、満を持してドラフト1位で日ハムに入団。しかしながら、ここから彼は壁に苦しむこととなる。今季までの5年間で挙げた白星はたったの3勝。昨季は競った試合を避けてではあったものの51試合に登板したが、今季はどうやらフォームを崩してしまったようで3回の登板に留まってしまったのだ。
プロ入り後に彼の実力が鳴りを潜めている理由はなんだろうか。恐らく、1つに絞れるほど簡単なものではないが、やはり決め球がないことが1番の原因なのではないか。カーブやフォークなど、変化球は投げられるもののどれをとっても中途半端なので、彼の武器である直球が本来の速さよりも遅く感じられてしまうのではないか。今をときめく佐々木朗希や髙橋宏斗のような剛腕投手でも、必殺球は必ずあるものだ。力任せの投球は日ハムの水色のユニフォームと共に脱ぎ、紺色のオリックスのユニフォームと共に1つの武器となる変化球を身に纏うことができたら、大化けは間違いのないことなのではないか。
最後に
思えばオリックスは、イチローのMLB挑戦とともにおよそ20年の暗黒時代を過ごすこととなってしまった。その教訓を活かし、山本由伸を片手うちわで「行ってらっしゃい!」とMLBへと送り出せるような若手養成を進めていたのではないか。この過渡期を乗り越えられたら、昭和の終わりから平成初期の西武や平成末期のソフトバンクのような王国をパ・リーグに建設できることだろう。