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【D】来季ドラフト、中日が狙うべきは日韓W杯世代!

 純白のユニフォームにロイヤルブルーの帽子を身にまとった中日のルーキーたちが、入団会見を行った。やはり目についたのは1位入団の草加勝。細身ではあるものの、表情や佇まいはやはり数々の修羅場を乗り越えてきた好投手ならではのものがある。この会見を見ると同時に、現在大学3年生の僕は来年の今頃には同い年の大卒選手達が中日のユニフォームを着ているのだということを実感し、少し畏れ多くなってしまった。今回は、そんな来季のドラフト候補を、中日の補強ポイントに主眼を置いて見ていくこととしよう。

来季も大卒投手を!

 2年連続の最下位に沈んだ中日。やはり歴史的な貧打線に目がいくものの、実はそれ以上に投手が深刻。野手陣は現在の力こそないものの、石川昂弥、鵜飼航丞、龍空、村松開人と伸び代が盛んな選手の名前がつらつらと出てくる。しかしながら、先発投手陣は未だに大野雄大や涌井秀章のようなベテラン陣に頼る他なく、頼みの柳裕也、小笠原慎之介の両輪も今後三十路へと向かうため今がピーク。3年後もローテーションを期待できるのは髙橋宏斗、仲地礼亜、上田洸太郎の次に名前が出てこないという参上だ。

 従って、大卒の先発投手陣を複数人指名すべきだ。来季の大卒は、髙橋宏と同い年なので3年後の投手王国を築き上げるには願ってもないチャンスである。それでは、そんな黄金世代2度目のドラフト1位候補3人をご紹介しよう。

中村優斗(愛工大)

 まずは地元・愛工大から。附属の名電高からは不世出の安打製造機ことイチロー氏をはじめ、名だたる名選手が出ているが愛工大からは誰以来だろうか。という出身の話はさておき、来季ドラフトの目玉を見ていても頭1つ抜き出ているのが彼である。157キロの直球はもちろんのこと、縦横のスライダーも素晴らしい。特に横のスライダーは今春にWBCで大いに話題を呼んだ「スイーパー」なる新球にあたるのではないかと感じる。現役のプロ投手に例えるならば、ここ数年の大谷翔平や山本由伸に近いのではないか。いわゆる「球の速い変化球投手」と言った感じだ。

 スペックは当然素晴らしいが、僕が考えるに彼の最たる強みは大崩れしない安定感である。僕は注目して彼の試合を見ていたが、四死球を与えることが本当に少ない。1試合で2個出したら多く感じてしまうほどに、余計な出塁を許して自滅してしまうことがないのだ。それとは対照的に奪三振数はほとんどの試合で2桁を超える。この2つの数字から分かるように、彼はしっかりとストライクゾーンの中で勝負して三振が奪える投手なのだ。また、愛工大はその他の投手も素晴らしいので、中村は他のドラフト候補のように使い倒されることなく大学ラストイヤーに挑めることも良い評価に繋がるだろう。このまま故障なく来秋を迎えると必ず競合となるだろうが、それでもお構い無しに指名して欲しいものだ。将来はエースどころか、大リーガーの素質もある逸材なのだから。

金丸夢斗(関西大)

 前述の右腕・中村と双璧を成すのが古豪関西大の左腕・金丸。ワインドアップからのゆったりとしたフォームは、西武や横浜で活躍した工藤公康氏や巨人で活躍した内海哲也氏を彷彿とさせるものがある。球速は最速153キロ。左ながらにコンスタントに140キロの後半を出す紛うことなき速球投手だ。

 そんな速球もさることながら、個人的に素晴らしいと感じたのが2種類のスライダーだ。120キロ代で大きく弧を描いて滑るものと、130キロ前後で膨らみが小さく右打者の懐に切り込むようなものの2種類。これを巧みに使い分けている事が印象的だ。また、彼も中村同様に与四死球率が2を下回り、奪三振率が10を超えるのでストライクゾーンの中で勝負できる投手と言える。現時点でもNPBでローテーション、更には2桁勝利を期待できる素質の持ち主であるのは十分に分かっているが、彼は絶対にドラフト1位でなければ取れない投手。前述の中村と天秤にかけてしまうと、どうしても地元の中村を指名して欲しいものだ。おそらく、このまま怪我なく行けばこの2人で12球団の半分以上の入札が埋まるのではないかと考えている。

篠木健太郎(法大)

 まだプロ志望かもわかっていない状態でこのようなことを言うのは失礼だとは思うが、「体が出来たら」ということを考えると1番楽しみなのが篠木だ。近年には珍しい、大きく振りかぶって投げる力投派。大学の先輩である江川卓氏の再来という呼び声も高い投手である。

 この投手の素晴らしい点でもあり、また心配な点でもあるのが肘の使い方だ。ここまでしなる当主は久しぶりに見たというのが第一印象。炎の藤川球児氏の全盛期を彷彿とさせるような、球持ちが素晴らしい投手である。しかしながら、こうした肘の使い方は負担になるのも表裏一体である。すぐに一軍の戦力と考えず、身体や怪我をしないフォームを作る時間を一定期間設けることができるのならば、彼を指名すべきである。ただこの投手も、最初の12人で消えてしまう可能性が高いが。

最後に

 今回紹介はできなかったが、野手にも宗山塁(明治大)や渡部聖弥(大商大)と注目選手が揃う。それにしても、我が平成14年世代は逸材ばかりなので今後の球界が非常に楽しみである。

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