【D】3年目根尾昂、ホップステップジャンプとなるか
投手に転向した3年前から、何かと雑音がついてまわった根尾が対外試合今季初先発を文字通りの快投で終えた。3回を無安打無失点投球。最速は154キロを記録したと言うのでこの時期にしては心配になるくらいの出来である。今回は、そんな根尾への期待について書いていくこととしよう。
必殺カーブ、「技術」は習得
今回の彼の登板で目に付いたのは、前述の快速球ではなく新球のカーブだ。カーブの名手として名高い今中慎二臨時コーチ直伝ということで、一度ポンと上に浮き上がってからパラシュートを出したかのように落ちていくスローカーブと言われるカーブであった。この短期間で会得するとは、やはり根尾昂という男の野球センスは素晴らしいものがある。
しかしながら、根尾は完全にこのカーブをモノにしたかと言われるとそうではないだろう。初めて公式戦のマウンドで、この遅い球を投げられた時こそが本当に彼のスタイルとなる時だ。あとは度胸があるかどうか。人を食ったような球を、果たして一流の強打者に投げられるかどうかにかかっているのだ。
投手インザホールから
打者ごとの対戦に主眼を置いてみよう。最も成長を感じられたのは、2回の先頭打者との対戦。左打者の新人・井上絢登に2ボール0ストライクというインザホール・カウントを作ってしまったものの、そこから同じコースに直球を2度続け、最後は低めに沈むフォークボールで三振を奪ったのだ。
昨季までの根尾であれば、そのまま歩かせてしまい先頭打者出塁を許してしまうところであったが、涼しい顔でそれを凌いでしまったのだ。これにはやはりフォームの安定感が起因しているはずだ。下半身に寸分の狂いなく、しっかりと同じ動作の再現を繰り返しているように見える。やはりこれは、オフの走り込みの賜物であるはずだ。僕はこの投球内容を見て、今季の2桁勝利は堅いと確信した。