中学生…この多感な時期に私は少しずつ世の中というものを教え込まれる。それまで、みんな仲良く平和になんて理想郷を描いていたが現実なんてそんな理想さえいとも簡単に崩していくのだ。
私の小学校からほとんどがその地区の中学校へそのまま行くため、その時からのメンツはさほど変わらなかった。だから寂しくはなかったが当然他校の生徒もくる。入学式から初日のオリエンテーション、ここの動きがこれからの学校生活に関わってくる。ただでさえ孤独を強いられたからこそ、不安をなくしたくて必死だったのかもしれない。
私は小学の頃から女友達が多い。というよりむしろそれしかいなかった。自身もそこに居心地のよさを感じ男の人にどう接すればよいかわからなかったため。しかし、田舎だからなのか偏見の目は凄く、男なのに女の子とばかりいる、あなたは男なんだから男子と話したらと入学仕立てで不安定な時期はそういう空気が醸し出されていた。
仲いい子も他のクラスだったため私は自然と孤立していた。が、その感じが周りの目を気にして嫌だったため、同じく一人でいた子に思い切って話しかけた。
不安気な彼も最初は驚いた表情をしつつも話してくれた。だがその瞬間周りがざわついてしまった。
どうして?なにを失敗した私…と思っていたが後に周りから聞くと彼も私のようにイジられてきた子だったのだ。お家もそこまで裕福でなく学も弱い、小学低学年のような変に素直で野球の話好きな子だった。
他校の同じ学校の子たちからすると異様な光景に思えたのだろう。そして自己紹介。前の席は他校の少しヤンチャな子だった。
その子が私の顔をマジマジとみるとこう言い放ったのだ。
「お前鼻潰れてるね」と。
衝撃だった。自身でさえも触れられなかったからか気づいてなかったから。これがいわゆる「普通」だと思っていたから。あまりの出来事にどうしてよいかわからず涙を流してしまった。特に傷ついたわけではない。唐突すぎて頭が追いつかなかったのだ。
そこから私は様々な男子に鼻を人差し指で押さえるジェスチャーをして鼻ぺちゃとからかわれるようになった。その前から唇の歪な感じに気づき気にしていたのに鼻まで気にするようになったのだ。確かに軟骨がないため潰れているように見えた。そこから私のコンプレックスは増えていったのだ。
さらにナヨナヨしてることもすぐにイジられオカマだといろんな子に言われてきた。今までは抑えていた同じ小学の子でさえ一緒にからかう始末。新しい環境で上手くやる手段なのであろう。子どもの社会でもわかりやすく上下関係はある。そして孤独を嫌うため誰かとつるみ攻撃をするのだ。
口唇口蓋裂の影響と自身の性格、2つの偏見で中学時代はスタートした。