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【推し短歌】あの日君が教えてくれた
痛いのは嫌いと嫌味言う前に
きらめく切っ先胸貫いて
失われ朽ち果て滅び
だからこそ
有限をいく強き想いか
醜さか愛しさなのか
君に問う
剝きだす本能その先の先
”推し短歌”に挑戦してみました。
こんな機会でもなければ
推しの魅力を語ることもありませんから。
推しは武道家です。
私は彼と出会うまで、
体術には全く興味がありませんでした。
さらに武器には嫌悪感さえ持っていて
映画やドラマの合戦シーンも大の苦手。
刺さるのをイメージすると
まるで本当に刺されたかのように
あちこち苦しくなるのです。
武道や武器を美しいとは
到底言えそうにありませんでした。
そんな私が見惚れました。
彼が剣を手に持った時です。
日々の鍛錬による彼の動きは
一切の無駄なく洗練されたもので、
それでいて一振りごとに熱を帯び、
「痛いのは嫌いなんです」
そう言おうとした私の口は開いたまま
言葉を発することはありませんでした。
呼吸すら忘れてその動きを見つめました。
ただただその美しさに酔いしれました。
とは言え正直武道について
未だ無知といっても過言ではなく、
阿鼻叫喚の延々と続く合戦シーンも
汗飛び散る緊迫の肉弾戦も
できれば避けて通りたい。
でも彼が見せてくれる「彼の」ものなら
何時間でも見ていられる自信あり。
そんな推しにメロメロな私ではありますが
命と対峙する技を極めていく彼から、
その行為をただ残忍だ残虐だと騒ぐことなく、
内なる獣を明日への力に変換していく
知性と理性を持つ人としての在り方であると、
そう教わったこともまた事実です。