【詩】薔薇色の夕暮れは甘い喜びの時
ふと見上げれば、
その青空は描かれたものだった。
うっすらと柔らかな雲も
遠く霞むような山脈も。
ギョッとして辺りを見渡せば、
花も木もすべてがよくできた絵の中だ。
唖然とする僕に、
まあるい頭上から声がかかる。
ごめんごめん。
さっき、大きな結晶落としちゃって。
木っ端微塵で世界が薔薇色なんだ。
急いで掃除中なんだけど、
どうやらで君まで閉じ込めちゃった。
青空がぴらりとめくれて彼が顔を出す。
随分と慌てている。
しかしその様子は密かに微笑ましい。
僕はそっと手をさしのばし、
偽物の空から彼を下ろした。
肩を並べて座り、
めくれた紙をさらに引き下げて、
結晶きらめく空を二人で見つめる。
せっかくなのだから楽しみましょう。
きっと誰もが夢見る夕暮れになる。
そう囁けば彼が恥ずかしそうに笑った。
その後ろに広がる薔薇色の空よりも
もっとずっと色づいた頬で。