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【詩】赤い傘〜シロクマ文芸部〜

赤い傘はもうどこにもなかった

食べ終わったアイスのカップも
君の濡れた髪を拭いたタオルも
僕が貸したTシャツも
温もりだってまだ
この手に残されていたのに
赤い傘だけがどこにもなかった

私は野良猫だから傘はささない
野良猫だってさしていいんだよ
君にはきっと赤がよく似合う

僕らの行く道が
ずっと大きく離れてしまっても
交差点で出会ったあの午後は
確かに存在するものだ

野良猫は
懐かないってわかってる
馴れ合わないってわかっているよ
自由が好きだって
ちゃんと知っているから

だけど君が
赤い傘を持っていってくれたこと
いつまでも覚えているだろう

くるくる回る赤い傘
君が選んだ赤い傘
僕が買った赤い傘

雨の日にはいつもどこかで君が
笑っていてくれるといいな


雨は嫌いじゃないけど
ここ数週間はタイミングが悪くて
どうも鬱々してしまう。
でももし素敵な傘を買ったら
雨が降らないとつまらない。
そう思ったら心の内は晴れました。


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