悠木ゆに yune
映画感想文・読書感想文。感想文を書くのが苦手なので文章を書く練習を兼ね、3行くらいを目安に書いています。中身はあってないようなもの。脱線しがち。ネタバレは極力控えますが、ふわっと感じさせてしまうかもしれないのでご注意ください。
まとめました。
年明けに、あさひくんを何話か非公開にしようと思います。なろうサイトでは引き続き全話公開です。 https://ncode.syosetu.com/n0774iq/
勇太の過去 12 あのときの願いは叶わず、来週から小学生になる。 じいちゃんが死んでから、俺以外の時間はどんどん過ぎて、そんな状況に対応できない俺は体調を崩し、一日中部屋にこもって何もしない時間を過ごす。 何も食べたくない。 何も動きたくない。 そんな俺を『あの人』たちは心配しつつも、自分たちのことでいっぱいいっぱいで、慌ただしく部屋の前を通り過ぎる。「時間が解決してくれるから」と。 いつものようにベッドの上で寝転びながら、窓の外の空を眺めていると、家のチャ
勇太の過去 11 黒い服を着た大人たちがいっぱいいた。 覚えてる。ばあちゃんが死んだときもそうだった。眠っているばあちゃんが怖くて、僕はじいちゃんに抱きつきながらばあちゃんとバイバイしたんだ。今日は抱きつく人がいない。じいちゃんも、ばあちゃんも、僕のことを助けてくれる人はいない。 お家でお坊さんが難しいお歌を歌っているとき、僕は急にここにいたくないって思って、『お父さん』にトイレ行ってくる、と言って静かにお部屋を出る。ここに住んでいたときは広く感じたけど、今日はと
勇太の過去 10 起きたら自分の部屋にいた。 どうしてお家にいるのか、じいちゃんはどうなったのか、ベッドから飛び起きてお家の中を走り回って『お父さん』を探すけど誰もいない。自分の部屋に戻って、いつもじいちゃんが病院から電話してきた番号にかけるけど繋がらない。『お父さん』に電話をかける。 「もしもし、勇太どうし、」 「じいちゃんは?じいちゃん死んじゃった?」 「勇太、落ち着いて」 「なんで、僕に内緒でじいちゃん死んじゃったの!」 また涙が出る。 じいちゃん死んじ
勇太の過去 9 冬になった。じいちゃんと約束した冬。 じいちゃんが『お母さん』たちにお話しをして、一日だけじいちゃんに会いに行けることになった。本当はずっとじいちゃんのところに居たいけど、『お母さん』たちのお仕事が忙しくてお休みが取れないから仕方ないってじいちゃんに言われた。僕、一人でも行けるのに。 冬になるまで、冬になってからも、じいちゃんから電話がくると「じいちゃんいつ会える?」「もう治った?」ばかり聞いた。 今日はやっと、やっとじいちゃんに会える日。
最近観て面白かった7本。 感想文が苦手なので、文章を書く練習を兼ね、3行くらいを目安に書く。中身はあってないようなものです。 ネタバレは極力控えますが、ふわっと感じさせてしまうかもしれないのでご注意ください。 キャッシュトラック 普段ハラハラドキドキ系は観ないけど、妙に惹かれて。一定の温度とリズムで動く映画が好きなので、ビビりながらも楽しめた。ロバート・ダウニー・Jr主演の「シャーロック・ホームズ」も好みのスピード感だから、同じ監督のガイ・リッチー作品が好きなのか
勇太の過去 8 幼稚園で、すきなものを紙いっぱいに書こうの時間があった。 前の幼稚園で家族の絵を描いたとき、じいちゃんとばあちゃんの絵を描いて、みんなから「なんでおじいちゃんの絵を描いてるの?」「お父さんいないの?」「おじいちゃんがお父さんなの?」っていっぱい質問されたことを覚えてる。ここでも同じことを言われるかもしれない。 おひざの上に手を置いて、みんなが書いているのを見ていたら、隣の子が「なんで書かないの?」って。 「すきなものないの?」 「あるよ」 「あるの
勇太の過去 7 長いお休みが終わって、明日は 会社を "半休" した『お父さん』と新しい幼稚園に行くことになった。半休って何だろう。 前の幼稚園は好きなお洋服で行っていたけど、新しい幼稚園は制服で行くから幼稚園に行くときは毎日これを着てね、って寝る前に言われた。 制服は毎日同じお洋服で幼稚園に行くこと、だって。 「新しい幼稚園には少ししか通えないけど、お友だちいっぱいできるといいね」 「うん」 「前の幼稚園では、お義母さ……おばあちゃんが幼稚園に行く準備してくれた
勇太の過去 6 知らない人がお家に入ってきた。 その人はキッチンでお茶を飲んでいる僕を見て、少しびっくりした顔をしてから「ハウスクリーニングで参りました」とお辞儀をした。僕も「こんにちは」ってご挨拶をしたら「さっそく始めさせていただきます」とすぐに掃除の準備をする。 僕は急いで自分の部屋に戻る。 知らない人がお家にいるって、何だかソワソワする。部屋の中にある本を読んでみようかな、おもちゃで遊んでみようかな。いろいろ考えてみるけど、違うお部屋で音がすると気になっちゃ
勇太の過去 5 新しい生活。新しいベッド、新しい勉強机。 ベッドの周りには新幹線のぬいぐるみが、机の上には見たことのないゲームや本が置いてある。 前に泊まりに来たことがあるお家とは違う、もっと広くて大きいお家になっていた。「ここが勇太の新しいお部屋だよ。前のマンションだと狭いからね、少し前に引っ越したんだ」これからここで暮らす勇太のために、新しく何から何まで揃えたんだよ、と『お父さん』が話してくれた。 「お腹空いてない?お父さんたちは仕事に行かなくちゃいけないんだ
勇太の過去 4 気がついたら、布団の中だった。 昨日、あのまま眠ちゃったんだ。隣を見たらじいちゃんがいなかった。眠い目をこすりながらじいちゃんを探しに行くと、じいちゃんは縁側に座って、畑を見ながらコーヒーを飲んでいた。外は夜か朝か分からないけど、じいちゃんがコーヒーを飲むのは朝だけだから、きっと朝だ。ゆっくりじいちゃんの背中に抱きつくと、じいちゃんは身体をビクッとして「なんだぁ、勇太かぁ。びっくりしたぁ」と僕の腕を優しく撫でる。 「じいちゃん、早起きだね」 「んだよ
勇太の過去 3 それから、じいちゃんと僕の生活はあっという間に過ぎていった。 じいちゃんは入院の準備を、僕は『お父さん』の家に行く準備を。じいちゃんはいつ帰ってくるか分からないって言ってたけど、きっとすぐ帰ってくる。 じいちゃんは大きい鞄に洋服を、小さい鞄には三人で撮った写真と僕が描いた絵がいっぱい入っていた。 「じいちゃん、この絵も持っていくの?」 「これはじいちゃんの宝もんやけ」 「ぼくも宝物欲しい。じいちゃんのなにか欲しい」 「じいちゃんのかぁ?」 そう
次の夏、ばあちゃんが死んだ。 ばあちゃんに「畑からきゅうり取ってきて」と言われ、畑で大きいきゅうりを見つけたからばあちゃんびっくりするぞ、とスキップしながら戻ると、じいちゃんが大きい声を出していた。どうしたんだろう。 声がする台所に行くと、倒れているばあちゃんの横でじいちゃんが大きい声を出していた。じいちゃんが僕に向かって何か言ってる。こわい。ばあちゃんが倒れてる。こわい。 それからのことはあまり覚えてない。 お家にお客さんがいっぱい来たし、知らない場所にも行っ
静かな家、読めないラベルの酒、テーブルの上に置かれた金。週に一回、小学の頃は五千円、中学の頃は一万円、高校に入ってからは月に五万円が置かれるようになった。 この金を見ても、なんの感情も湧かない。 仕事第一の人たちの間に生まれ、幼稚園の頃までは、じいちゃんとばあちゃんに育ててもらった。 『あの人』たちと違って、じいちゃんたちからは愛されてたと思う、とても。 じいちゃんはいつも「勇太はじいちゃんの息子や」と言ってたし、ばあちゃんも「ここが勇太の家」と言ってたけど、その
今日はバイトが休み。 ママとリビングでゴロゴロしながら映画を観ていたら、玄関からドアを開けるような音がした。 パパは凪の試合を観に行っているはずだし、ハルはここにいるし、玄関の鍵かかってるよね、とママと顔を見合わせていたら、今度は庭からリビングに通じる窓を開けようとしたり、コンコンとノックをしたり。 「え、誰?」 「柚見てきてよ」 「やだよ、ママ行ってよ」 二人でビクビクしていると、さっきまでソファーで眠っていたハルがのっそりのっそりと歩きながらカーテンをくぐって
翌日、学校終わりに駅裏のカフェに寄ってあさひくんと二人、わたしは抹茶のパフェ、あさひくんはチョコのパフェを頬張っていた。抹茶とチョコで悩んでいたわたしに「二つとも頼んでシェアすりゃいいじゃん」と魅力的な提案をされ、ありがたくそうさせてもらう。 「そういえば、昨日ちーちゃんにラインしたの?」 「ちづに?なんて?」 放課後、あさひくんから職員室に行くから教室で待ってて、と言われたので、ちーちゃんと一緒に待とうとしたら、ちーちゃんは「柚ちゃん、じゃあね」とわたしの横を通り過