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【アーカイブ2019】出港を待つ『豪太丸』~滋賀大会延長戦13日目・近江

綾羽との準決勝で3安打。板坂豪太はおじいちゃん子だった。

昭淳さんにとって初めての男孫。自身を「パパ」と呼ぶ豪太が、かわいくてかわいくて仕方ない。

毎日2人でキャッチボールをし、山に行くときも川に行くときも一緒。日本海に大きな漁船を購入した際は、迷わず『豪太丸』と命名した。強豪校で野球を続ける孫が誇りで、試合はいつも応援に駆け付けた。

その昭淳さんが1月に亡くなった。死因はガン。60歳の若さだった。葬儀は遺族代表で豪太があいさつをした。去年の夏はベンチ入りを逃していて、祖父を甲子園に連れていく夢は最後まで叶えることができなかった。悔しさより「やるしかない」と思った。

いま、豪太は近江のレギュラーだ。試合開始後、守備に着くときは空を見上げ、「パパ、見ててな」とつぶやく。全てをこの大会に懸けてきた。

甲子園行きの豪太丸出港まで、あと1勝。【2019年7月26日掲載 ※2019年コラムの最終回です】

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