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ブランディングの第2ステップ:ブランドの価値構造を解析する=ファクト、機能価値、情緒価値の整理


最重要な価値の整理

価値の整理とは、商品やサービスそのものの独自性を深掘りし、どのような価値の源泉から機能価値や情緒価値が生まれているのかを明確に把握する作業です。このプロセスは、売り手側が自分たちの提供する商品やサービスの価値を再認識し、ブランド戦略の基礎を築くために最重要なステップです。

元P&Gのバイスプレジデント 和田浩子さんが、「商品が売れない時は、よく商品を見つめ直さなければならない」とおっしゃっていたことが鮮明に記憶にあります。価値の整理はまさに商品を見つめ直すことになります。

ファクト(事実)の整理

ファクト(FACT=事実)とは、ブランドが持つ独自の素材や技術、製法、歴史、作る人の背景、など具体的な固有の特長を指します。ファクトを整理することにより、ブランドの信頼性を支える根拠を明確にします。この作業では、ブランドが持つすべての事実を網羅的に洗い出し、それを明確にすることが必要です。

機能価値の整理

機能価値とは、ファクトに基づいてブランドがターゲットに対して提供できる具体的な利点です。機能便益とも言います。これは、ブランドの魅力や優位性を具体的に示すもので、ターゲットにとっての利点を明確にします。機能価値の整理は、ファクトを基にしてどのような機能的な便益が提供できるのかを、ひたすら考えて、たくさん出していく作業です。

情緒価値の整理

情緒価値とは、機能価値に基づいてターゲットに提供する感情的な便益や満足感です。情緒価値は、ブランドがターゲットにどのような感情をもたらすかを示します。1つの機能価値から複数の情緒価値が生まれることもあり、また1つのファクトから複数の機能価値が生まれることもあります。これらを整理するとブランドの独自性と魅力が発見できることがあります。

価値の整理のプロセス

  1. ファクトの洗い出し: ブランドが持つすべての事実をリストアップし、それを明確にする。

  2. 機能価値の抽出: ファクトに基づいて、ブランドがターゲットに対して提供できる具体的な利点を整理する。

  3. 情緒価値の特定: 機能価値から生まれる感情的な利益や満足感を明確にする。

価値の整理を行うことで、ブランドの強みを具体的に示し、ブランド戦略の基礎を築くことができます。また、独自性の高い情緒価値を発見し、それをブランド戦略のコアに置くことで、ブランドの魅力と強さを一層分かりやすく高めることができます。まずは、どんな良いことをしてくれるかを、考え、出てきた言葉を機能と情緒にわけて、それを引き出しているファクト(事実)を考えるのがわかりやすいと思います。

事例紹介

1. ミネラルウォーター

  • ファクト: アルプスの雪解け水から採取されたH2O。

    • 機能価値: 純粋でミネラル豊富な水が、喉を潤してくれる。
      足らなかった。ミネラル分を補給してくれる。

      • 情緒価値: 清涼感があり、リフレッシュできる。体に不足していた成分が補給され、健康な体になっていると言う満足感。

      • 情緒価値: 自然の恵みを感じる安心感。体が再生される充足感。

2. 高級スキンケアクリーム

  • ファクト: 特殊な植物エキスを使用。

    • 機能価値: 高い保湿効果がある。

      • 情緒価値: 肌が潤い、自信が持てる。

      • 情緒価値: 若々しい肌を維持できる満足感。

3. 電動自転車

  • ファクト: 高性能なリチウムイオンバッテリー。

    • 機能価値: ガソリンを補充することなく、長距離走行が可能。燃料代がかからない。空気を汚さない。

      • 情緒価値: 移動が快適になり、ストレスが軽減される。

      • 情緒価値: 環境に優しく、エコな生活を実践できて、満足。

まとめ

価値の整理は、ブランド戦略の基礎となり、ブランドの強みを最大限に引き出すために不可欠なステップです。ファクト、機能価値、情緒価値を明確に整理することで、ブランドの魅力が把握でき、なぜこのブランドが他よりも優れているのかをロジカルに説明することができます。また、独自性の高い情緒価値を発見し、それをブランド戦略に組み込むことで、ブランドの魅力と強さを一層高めることができます。

私は価値としていますが、デビッドAアーカーは、ベネフィット(便益)と言ってます。
機能的便益(Functional Benefits) - 製品やサービスが実際に提供する物理的な機能や性能。これは製品がどのようにユーザーの具体的なニーズを満たすかに関連します。

  • 感情的便益(Emotional Benefits) - 製品やサービスを使用することで引き起こされる感情的な反応。これには安心感、楽しさ、プライドなどが含まれます。

  • 社会的便益(Social Benefits) - ブランドを使用することによって得られる社会的なステータスや所属感。これは他人に対する印象や、ある社会的グループへの属する感じを強化することがあります。

  • 自己表現的便益(Self-expressive Benefits) - ブランドを使用することで、消費者が自己のアイデンティティを表現する手段となる。これは個人がどのように自分自身を他人に見せたいか、という願望を反映します。

  • 私はコンサルするときに、わかりづらくなるので、社会的便益や自己実現便益は後で必要な時に考えるようにしています。

  • 事実⇒機能価値⇒情緒価値 ⇒社会的価値⇒自己実現価値 と関連性を持たせられないからです。社会的価値と自己実現価値は、情緒価値に一部含まれるのと、インサイトに含まれると解釈しています。

FACTはRTBと言われることがあります。
RTBとはReason To believeのことです。

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