夏風邪と嵐の前日。
夜中、何度か喉が渇いたと言う娘にお水を渡して、朝。起きて遊びたいというのを、布団に戻して体温を測る。38.5度。毎度夏風邪はなかなか下がらない。少し咳が出るけれど、今はゆっくり眠れてるみたいでほっとする。
子どもを産んで暫く経ってから、一気に免疫力が落ちたのか、一昨年、娘と息子のこういった風邪が毎度全て移って、毎回扁桃炎になって40度の熱を出した。喉の痛みと関節痛で寝られなくて、泣いてばかりいた。
子どもたちの病気を0距離にいたまま移されない、というのは不可能だと悟ったので、口蓋扁桃を両方取る手術をした。手術室でうっすら目が覚めてぼんやりしていると、
『やっぱり片方は肥大化して膿んでて、摘んで取る時にぶしゅって膿がね〜なったんで、とって良かったですね〜』とにこやかに執刀してくれた主治医が言った。
見ます?と言って摘出した組織を見せてくれた。私の体に在った肉的なものを出して見せてもらったのは、赤ちゃん(息子と娘)と胎盤と、これで3つ目だった。
覚悟していた手術後の痛みは凄まじくて、咳をしたりくしゃみをすると出血して再手術、下手したら血液で窒息死するからと主治医と看護師さんに真面目な顔で言われての10日入院だった。
鬼滅の刃を全巻読み、アニメを見て、ポケモンをひたすらやり込み主治医と話が盛り上がった。
重湯が美味しくなくて、こっそり売店でアイスとコーヒーゼリーを買って食べて、それからコーヒーゼリーが大好きになった。
あれから、子どもたちの風邪が移っても熱を出すことはなくなった。微熱くらい。
喉が痛くなることも、格段に少なくなって、看病のハードルが下がった。無理しすぎて突然動けなくなる、とかはあるけれど。
目の前で、娘がぱくぱくアイスを食べている。今日は息子も見つつ、夜もワンオペなのでどうしようかなと考えて、ぼちぼちやるしかないか、と思った。
久しぶりにお抹茶を点てた。
少し古くなってしまったので、色がくすんでいるけれど相変わらず美味しい。この前遊んだ会長が、痩せすぎだと季節ごとに何か美味しいもの、実山椒やダイシロという柿、和菓子などを送ってくれて、その中に時折入れてくれる。京都の柳桜園 松の白。初めて美味しいと思ったお抹茶。
作法も何もなく、自由に。
島根の安来に行った時、普通のお茶の感覚でお抹茶を飲むという文化に触れた。
点ててもらって、河井寛次郎さんの器を使わせてもらって、美しい琥珀糖や和菓子と一緒にいただいた。
美味しく飲めればそれでいいのよ、喜んでくれたらそれでいいのよと言ってくれたのを心にずっと持っていて、自分で点てるたびに思い出す。今日は濃いめに点てて、氷を入れる。
コーヒーより、ずっと優しくて、慰められる。すっと背筋が伸びる。
玄関の掃除をする。蜘蛛の巣が張っていたり、埃や砂がザリザリと出てくる。掃いて拭いて、捨てて、少しずつ空気が軽くなる。
料理は、食べてくれる人が必要だけれど、掃除は一人で完結できるので結構好き。洗面所も、トイレも、お風呂も、ゴシゴシと磨く。
本も読めず、もちろん映画も観られず、このまま家の中にいたら腐りそう、と買い物ついでに前から同僚やご近所さんにおすすめされていたリングフィットアドベンチャーを買ってきた。
「筋肉は一生の相棒」と箱に書いてあった。なるほど。
一日分すすめると汗だく。どうやって体を動かしたらいいか、どこまでキープするかなどわかってとても楽しい。息子がやってきて楽しそうに遊んでいた。
しっかり動いて、食べて、筋肉をつける、が今の目標。
鳩居堂の季節の葉書があまりに素敵で何枚か買った。そのうち、送ります。こうして言葉を打っていると、どこか泥団子のように固まったと思っても脆く崩れてしまう時があって、無性に手で書きたくなるのです。
台風が来るというので、自転車を動かしに外に出る。嵐の前の静けさなのか、とても穏やか。
月がやわらかく、やさしく、ぴかぴか光ってる。もう半月過ぎて、満ちてゆく。綺麗。
娘は39.5度、なかなか下がらず。ご飯は食べられたので、解熱剤を飲ませて眠らせる。
息子は元気を持て余して、べったり。
家中の窓を閉めて、早く6歳になりたいという息子の話をきく。早く海に潜って、ジンベイザメに会いたいんだって。
そんな一日。
おやすみなさい。
あ、田中一村の展示が都立美術館である。行きたい。
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