見出し画像

着やすさがキーワード。晴れの日でも、誰でも使えるデザインへ:グッドデザイン賞製品 デザイナーインタビュー(後編)

こんにちは!あなたの「好きな服を楽しく着たい」という気持ちを尊重する衣料ブランド、ケアウィルです。
ケアウィルの多機能レインウェアは、グッドデザイン賞2024を受賞しました!!

グッドデザイン賞2024
ケアウィルの多機能レインウェア

このレインウェアは、ポンチョとひざ掛けのセパレート構造が特徴です。デザインを手がけたのは、清澄白河のデザイン事務所『プロペラデザイン』の手槌さんと多田さん。ユーザーの声を大切にしたプロダクト開発が得意なお二人に開発秘話を伺いました。後編では、ユーザーの声がどのように製品に反映されたのか深堀ります。(前編:特別感なく自然。自分でも着たいと思えるデザイン

レインウェアサンプルを試着中
ポンチョは手槌さん(右)、ひざ掛けは多田さん(左)が担当

見た目はあと。日常での着やすさが第一。

―――デザインにあたり、何から始めましたか?

日常生活で自然に使えることが一番重要だと考えました。デザインが先行すると、使い勝手の悪いものになりがちです。そこで、まずは車いすユーザーの方々に試作品を着ていただき、直接声を聞くところから始めました。

車いすユーザーに既製品と試作品を着用してもらい、ヒアリング

実際に試着してもらうと、車いすユーザーの方は手の届く範囲や動かせる範囲が想像以上に限られていることに気づかされました。

車いすユーザーの手の動作範囲(個人差があります)

ですから、余計な動作をできるだけ減らし、簡単に装着できる構造を追求することにまずは注力しました。見た目のデザインはその後で考えました。

ユーザーの声が細部の気付きを与える

―――ユーザーの声からどのような発見がありましたか?

例えば、当初、サイズ調整用の紐をひざ掛けに付けたのですが、「腕が足元まで伸ばせず、紐を引っ張れない。」「紐が握れない。」といった声から、早い段階で、デザインを修正することができました。

体の可動や握力の制限が見えてきたことで、デザインで見直すべき細部が明らかになりました。

―――細部とはどういった点ですか?

ひざ掛けは当初、ゴム紐で裾の長さを調節する設計でした。こういった「引っ張るのが難しい」という声を受けて、調節機能をなくし、最初から絞りが入ったデザインに変更しました。

ひざ掛け裏:絞りが入っていて、長さ調節が不要

裾の長さ調整が不要になったことで、装着がより簡単になりました。

靴先にひっかけた後、引っ張りあげて着るひざ掛け

―――たくさんあるユーザーの声をすべて取り込んだのですか?

いえ、デザインにはトレードオフがあります。例えば、ポンチョの丈を長くすると車輪に絡まるリスクが増え、短くすると背中が濡れる可能性があります。どの機能を優先するかを慎重に判断し、調整しました。

ケアウィルさんや協働したセラピストの方々が持つ“現場の声”をもとに、どの範囲までカバーするか決めました。すべてを100%カバーしようとすると難しいので、重要な機能を優先し、バランスを取りました。

突破口となったアイデア

―――ポンチョにはどんな課題がありましたか?

ポンチョは、『頭から被るときに布がスムーズに落ちない』という課題がありました。生地の質感や重さで布の落ち方が変わるため、何度も試作を重ねて最適な生地を選びました。また、車いすで移動する際の漕ぎやすさや、引っかかりにくさなど、細部の調整も行いました。

後身頃がストンと落ちハンドルに引っかからないジャケット

―――デザインの突破口となったアイデアはありますか?

ポンチョの上部は、かぶったときに布が自然に落ちる工夫が必要でした。その中で、「生地を重ねて、真ん中でオーバーラップさせてみては?」というアイディアが出ました。

背面は生地がオーバーラップする構造

これにより、布が自然に落ちるのはもちろん、可動範囲が広がりました。動きやすさを保ちながらも、しっかりと体を包み込むデザインが実現したのです。こうした“ジャンプ”になるような発想があると、他にはない独自性のある商品になりますね。

―――試着してみると、確かに可動域が広くて動きやすいです!自転車のハンドルも握れそうだし、リュックも背負えそうです。

そうなんです。ぜひ、このポンチョの色々な使い方を楽しんでほしいです。

雨の日だけじゃない!思わず欲しくなるフックとは?

製品において、「これがあるから欲しい」と思わせるフックは大事です。

―――フック…ですか?

はい、このレインウェアには「雨よけ以外の使い方」というフックがあります。「風よけや寒い日の羽織り」としても使えるんです。

ウインドブレーカーとして晴れの日にも

ひざ掛けは腰のベルトを回転させて、首掛け・腰掛け・車いすへの装着など、「6種類の固定方法」があります。

車椅子のタイプや上半身の可動域、体幹に合わせて選べる固定方法

さらに、健常者の方でも、「毛布の上から掛けて、風を防ぎながらスポーツ観戦」、といった使い方ができます。

「さまざまな使い方ができる」ことが、一番のフックですね。

ーーーなるほど、天気やシーン、車椅子のタイプを問わず、さらに、車いす利用者以外も着られるって強いフックですね!これまでのレインウェアのイメージが変わりました!!

細部までこだわり、素敵なレインウエアができました

インタビューを通じて感じたのは、ユーザーの声には製品をより良くする力があるということ。ユーザーの声をもとに、雨の日にとどまらず、日常のさまざまなシーンで活躍できる新たな衣服が生まれました。
皆さんもぜひ、この多機能レインウェアで新しいお出かけの楽しみを見つけてみませんか?

多機能レインウェアは、carewillの公式サイトAmazonYahoo!ショッピングMakuake STOREから購入できます。ジャケット+ひざ掛けのセットだけでなく、別々での購入も可能です(セット割あり)。

carewillは、これからも当事者の方々の声に寄り添った製品づくりを続けていきます。そして、今の状況を”あきらめる”のではなく、必要とする方への選択肢をお届けできるよう、あなたの「できる」を応援します!

今回インタビューさせていただいたプロペラデザインさんのアンテナショップ「ALL」は清澄白河にあり、デザインに携わった生活雑貨を取り扱っています。清澄白河にお越しの際にはぜひお立ち寄りください。

清澄白河にあるアンテナショップ「ALL」



いいなと思ったら応援しよう!