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書評:ストレス脳

人間は幸せを追求する存在だと思っていましたが、この本では、その前提が変わります。
あまり書いちゃうと、ネタバレになるので、部分的に面白いと思った部分だけ書いてみます。

主役は「脳」

「脳」が進化したのは、幸福を感じるためではなく、「生き残るため」。

飢餓に対して備え、急な外敵の襲来に即座に対応できた個体が生き残ってきた。
つまり、不安を強く感じた個体が生き残り子孫を作ってきた。
幸福感は、生存とは真逆。幸福感を感じている時は体が即座に反応できないリラックス状態。これでは敵にやられてしまう。
だから、幸福感は長く続かないようにできている。なるほど。

感染症とうつの関係

コルチゾールや偏桃体、下垂体といった専門知識が必要な部分だけど、体が危険を察知した状態が長く続くと、うつ状態になるということ。

となると、原因はウィルスによる感染症や生活習慣病にまで及ぶ。

確かに、夫がCOVID19に感染した後の後遺症で1か月ほど倦怠感に悩まされていた。
うつではないかと不安になり、それがさらに落ち込みに拍車をかけていたが、1か月が過ぎるころ嘘のように体が軽くなったそうだ。

彼の体内で生じていた現象は、「うつ」と同じメカニズムだったのかもしれない。

うつ=人間関係やストレスに起因するもの と考えると、原因探しが始まってしまい落ち込みに拍車がかかるけど、感染症の後遺症として現れるものだと知っていれば、「そのうち終わるだろう」と思えただろうに。

孤独とデジタル化の影響

孤独のリスクを科学的に解説しているところや、バーチャルとリアルの違いを、心理学実験をもとに説明をしてくれている部分も興味深かった。

医学的な知識は難しいけど、首の後ろあたりをもみもみしながら「この辺から、危険察知シグナルが出てるんだな」と思うと、コントロールできるんじゃないかと思えるから不思議。

手っ取り早いうつ対策は、運動ですね。

公認心理師試験終わっちゃいましたけど、医療分野の心理系職種の勉強に役立ちそう。

あとは、ぜひ購入して読んでくださいね。

#読書感想文

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