2030という目標が絵に描いた餅になってしまった3つの理由
目標値が7%に下方修正???
アベノミクスの女性の活用で、女性の管理職を2020年に30%にするということがありました。
しかし、第4次男女共同参画基本計画案に盛り込まれたのは、国家公務員の課長級の女性の割合を7%とすること。
事実上の下方修正されたといってもいいでしょう。
30%を目指すのに、マイルストーンが7%の中間目標を置いただけ。
あくまでも30%は目指すべきなのにもかかわらず、いろいろな課題が山積をしているのはよくわかります。
ちなみに、民間企業で女性社員の勤続年数は、長期勤続の傾向が見られるようになりました。
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、雇用者のうち女性社員の平均年齢は40歳ちょうど。
男性も平均が42.5歳となっています。
女性の管理職の割合で一番多いのは、係長相当職で14.4%。
課長職になると7.9%、部長職になると4.9%となっているのが現状。
課長職以上の指導的立場と考えれば、民間企業では7%を超えているものの、その先に向けては道半ばという状況です。
いずれにしても女性の活躍推進はいろいろと言い方を変えながら、超スローペースで前進しているのが状況です。
それが女性活躍推進の政府方針によって、いよいよアクセルがかかると期待するのは、会社も社員たちも同じではないのでしょうか。
方針達成に向けて加速させるためには、数値目標を高く掲げることが重要です。
目標達成のための具体的な施策が行われるからです。
これまで掲げられた数値目標はリーマンショックや震災などの不測の事態により、棚上げにされていたようにしか見えなかったのが現状です。
今回は高らかに数値目標を掲げられる環境が整いつつあるので、達成への期待が高まります。
なぜ、女性の活躍推進をするのか
日本は人口減少になっているのと雇用の崩壊が始まっている状況です。
そこで潜在的な労働人口としているのが、結婚や出産を期に退職をした主婦(20〜40歳)が360万人いると推測されています。
その人達が再就職をすると、直接効果で3兆円、経済効果が6.4兆円あるといわれています。
日本の女性労働人口は全体の60%ぐらいですから、潜在ニーズの主婦が労働人口として入ることになると、約80%に近づくことになり、800万人増加して、GDPが14%最大で押し上げられるといわれている。
そうすると、世界2位の座を奪還できる可能性があり、日本としての発言権を増やしたいと考えている政府。
だから、政府主導で女性の活躍推進のギアをグッと上げる事になった。
もうひとつのメリットは世帯所得が増え、消費も増えることから、経済効果が循環するという狙いもある。
専業主婦の世帯所得は平均439万円なのに対して、共働きの世帯所得は平均534万円と約100万円も多くなる。
年間消費額についても、専業主婦世帯の平均が360万円なのに対して、共働き世帯の平均が409万円となっている。
消費が増えることによって閉塞感、デフレ脱却のチャンスになると考えているのが官僚の考えなのかもしれない。
バブル経済のように、大量生産大量消費という時代に戻そうとしているのかどうかはわかりません。
女性の活躍推進が進まないのはなぜ??
経済の低迷から脱却しつつある中で戦力として「女性」への期待が高まる傾向は明らかです。
少子高齢化が急速に進む中、社会を支える就業人口を維持するという、量的な側面からだけでなく、企業の経営戦略として女性人材の登用を促進することが、競走優位に結びつくという質的な側面からも期待されています。
ただ、これまでの男性偏重の人材登用を帰るためには、大きな流れと改革が必要になります。
経済産業省と東証の共同企画として女性活躍推進に優れている企業を「なでしこ銘柄」と命名して、いろいろな取組が導入されてきました。
こうした中、女性の活躍推進に否定的な会社は減ってきているのが現状です。
経済産業省調べでは、トップの理解不足を感じている社員は1,2%と低い数値が出ている。
いろいろな企業がワークライフバランスを重要視して、在宅勤務制度や福利厚生で差別化をしている現状がある。
育児休暇が最長6年という会社もあれば、地域限定社員という形で転勤なしの正社員出会ったり、柔軟な勤務場所を認める制度をつくったりして、いかに女性のライフイベントで離職をしないように努めています。
女性の活躍こそ会社の生き残りの鍵になっているのはどの企業もわかっていることではないでしょうか。
同様に女性活躍推進を応援する経営トップはもはや当たり前になりつつあります。
さらに女性の活躍は2つのメリットがあります。
競争力によい影響を与える
優秀な学生を採用することに効果がある。
その他にも前向きなメリットが出てきます。
どうして30%達成までの道のりが遠いのはどうしてでしょうか。
課題として出てくるのが「女性管理職候補の不足」「女性のキャリア意識不足」が上位。
それが本当に課題なのでしょうか。
「女性活躍のボルトネックは、男性の中間管理職という実感が強い」ということ。
これは終身雇用、年功序列がつくってしまった負の遺産ともいえるものでしょう。
男性の管理職には女性を登用するメリットがない?
例えば私が担当をしていたことのある企業研修での一コマ。
管理職候補の研修を担当することになったのですが、集まったのは3年目〜10年目の男性社員だけ。
この会社は常々、採用に苦労しているということをいっていたのと、新卒については女性のほうが優秀な人材が多くて、男性が採用できていないということを聞いていた。
管理職になるためには、所属長とその上司が関わってくることになり、その2人の推薦がないと管理職登用試験を受けることができないという。
現在の管理職が、女性の管理職を目利きする力がないということが一目瞭然でわかりました。
どうして、女性を研修に参加をさせないのかということを聞いてみると、「結婚、出産というライフイベントが発生すると辞めていくでしょ。それがわかっているのに投資することができないんですよ」という、残念な回答があった。
深掘りをしていくと、以前に推薦をしたけど断られたとか、管理職候補の女性が結婚退職をしてしまったなど、ネガティブがイメージがついてしまったため、それ以来女性にチャンスを回すことをしなくなったという。
ただ、このケースは異例ということではなく、どの会社でも起こっていることです。
そもそも女性管理職を増やす取り組みを会社が推進しても、現場の男性管理者にはメリットがない。
むしろ迷惑だと感じているケースが多くあります。
管理職のポストには限りがあり、女性が管理職を目指せば、管理職になれない男性が増えます。
管理職への登用は社内政治が関係しており、利権関係がそこには存在しています。
まるで白い巨塔のように派閥があり、自分より優秀な人材を数の論理で潰すというのが、昔からよくやられてきた手法です。
その利権関係を自分たち男性社員だけで使いたいという意識が社内にあり、
そう考えている男性管理職が多いのではないでしょうか。
妬んだり、嫉んだりすることは相手を自分のレベルまで下げて、自分の土俵でフルボッコにする行為。
本来であれば、目標とする人を抜いていくために、自分に磨きをかけることが正解なのだが、そういうことをしないで、社内政治に徹して権力のある人がドーンと攻撃すればいいと考えている。
その戦いに巻き込まれないようにするためには現状を分析して、勝馬に乗り続けることで出世することだ。
よくドラマでもありますが、女性が出世をしたり、いいポストに抜擢ををされると、「権力者に取り入れてもらって、女を武器にしてポストを手に入れた」とか悪口、陰口を叩く。部下は女性上司の指示に従うことなく、チームが崩壊していくことがよくある。
これはどんな会社でもある行為であり、その人の評価を下げることに対して必死に知恵を絞るのに、その人を越えていくために何をしなきゃいけないのかを考えないのが社会のルール。
相手をおろすことで自分のラインまで下げることになり、そこでたたかっているからだろう。
男性管理職だけで会社を運営しているほうがやりやすい。
ラインというか、派閥というか、男性の団結力というのはすさまじい力を持っている。
こうした発想が管理職似残っている限り、会社が笛を吹いても女性の活躍推進は進まない。
やはり、会社で女性活躍推進を男性管理職が自発的にすすめるようになるには、彼らがメリットを感じるような施策が必要になります。
例えば人事評価制度の項目で女性活用推進の取り組みが大きなウエイトを占めるとか、将来の昇進に対して、女性部下のキャリアアップの実行が必須になるなどが効果的になるかもしれません。
経営トップであれば、思いから取り組めることが、現場の管理職レベルになると、そうではないということはよくあることです。
そうした面を踏まえた環境整備が会社としても必要なのかもしれません。