人を動かすには原体験と冷静沈着な判断が必要な3つの理由
言葉は完璧かつ唯一のツールではありません
昔、何度いっても腹落ちをしない部下がいました。
そこから学んだことはチームリーダーとして知っておきたい伝え方のツールはいくつかありますが、なかでも重要で手っ取り早いのは、メンバーにいろいろ体験してもらうことです。
多くの経営者は「企業理念は何百回、何千回と飽きるぐらい同じことをいうのが大事だ」とおっしゃる経営者は多く、私もその通りだと思います。
しかし、私は非常に飽きっぽいところも多く、正直なところ同じことをいうのが得意ではありません。
「メンバーにビジョンを共有してもらうのは難しい」こういうリーダーや経営者も多いのは事実です。
誰もがやったことないビジネスを支える理念を、他人事から我が事に意識変化をしてもらうのは苦労をします。
現場を知らず、机上の空論で終わってしまう可能性もあり、それを体感することがないからです。
リーダーは率先垂範で自力で動く
特に立ち上げの時期というのは、企業理念にどうやって共感をしてくれるかというのがポイントです。
リーダーだからといって、現場にいかず、オフィスにずっといて、ガミガミ怒鳴っても、メンバーからしてみると「おいおい!何を楽して、ガミガミいっているんだよ。現場を知らないから何でもいえるよな」と冷めためでリーダーの批判をすることになり、そのうち自然とフェードアウトしていくでしょう。
現場で泥臭く営業をしている姿をみたり、マーケティングをしていると、
改めて自分の身で知ったことで、企業理念を体感することができるのです。
言葉で聞いたことでなく体験したことで未来のビジョンがクリアになる。
自分の経験をヒントに、チームをつくる際に、言葉だけでなくメンバーが「体感」できる機会をたくさん作ることにしました。
「つくる」シーンを体感してもらう
例えば、就職活動に欠かせないのがインターンシップ。
インターンシップは人事が企画したもの、現場に丸投げのものなど、コンテンツが大きく分けて2つある。
人事が企画したものは、会社の宣伝広報の部分が大きな割合を占めているため、現場のことを理解するには本質的な部分ではまだまだ浅いといえるだろう。
現場に任せる場合においても、アシスタントからやらせて信頼を勝ち取り、
仕事を振ってもらえる様になるまで時間がかかる。
人が育つには時間がかかるというのがネックであり、また、インターンシップ生の取り扱いを間違えてしまうと、ソーシャルネットから炎上してしまう。
そこでサバイバル型のインターンシップを導入することにしてみたことがある。
毎週、毎月課題を与えて、合格点をもらえないと脱落していく方式である。
理由は、即戦力で活躍してくれる人を採用するにあたって、必要な要素を持っていないと難しいからである。
仲間であり、ライバルであるというのは、同期という括りでは同じである。
そのインターンシップを通して、現場もほしい、人事もほしいという学生を役員クラスに会わせることで、母集団の形成であったり、レッドオーシャンでの採用方法を継続することが無くなった。
大学、専門学校、高校へのアプローチは多くなったけれど、広告費用を抑えて会社説明会の労力を抑えることができる。
また、地味な作業からスポットライトが当たる作業まで、現場と一緒になって人事、経営陣が考えているから、入社したあとの教育育成については、中途採用並みに時間の短縮をすることができる。
どうしても他人事として考える意識を、我がこととして理解してもらうことによって、会社の企業理念や現場の雰囲気を理解してもらえればいい。
新卒採用の離職率を下げるためには、入社前から選考段階できちんと会社のイメージ付をしていくことが必要です。
「使う」シーンの体感
全社員が集まるミーティングにクライアントさんを呼んで、クライアントさんとディスカッションをすることもあります。
場合によっては、クライアントさんのところへ一緒に新人社員を連れていって、「当社の不満な点、ここが不便」「この前は急なお願いにかかわらず対応してくれてありがとう」などと、現場でクライアントさんの声を直接聞けるようにしています。
クライアントさんと応募者とじかに触れ合うことによって、メンバーひとりひとりが理念とビジョンを自然に体感すれば、言葉だけで伝える時よりも遥かにビジョンの共有が進みますし、さらにモチベーションも変わります。
「もっとこういうサービスができないだろうか」
「もっとクラアンとのことをしらなきゃいけない」
「採用支援だけでなく、お客様が困っていることを解決したい」というように、それぞれのココロにビジョンと主体性が生まれるのです。
頭でわからないことも、身体で感じればわかることもたくさんあります。
体感したことは深く染みこむため、うまくいかないときに思い浮かべてがんばることもできます。
「あのクライアントさんのこの問題を解決することができればいいな」と思えば、もうだめだという時に、最後のひと踏ん張りができるのです。
お客様や取引先との接点を通して理念を体感してもらい、メンバーのモチベーションを高める。
この方法は非常に有効的な手段です。
その上、チームリーダーとしては、理念をただ唱え続けるよりも大きな効果がえられ、教育のアウトソーシングにもつながっていきます。
リーダーが言葉を尽くしてビジョンを伝えることに加え、メンバー自身に現場に足を運んで体感してもらう。
この方法はかなり有効的な手段として、チームを活性化させる方法です。
成果はひとりでつくったもの?
とある経営者から、「離職者が増えていることが問題なんです」という相談を受けた。
面接をしていてもよくあることなのだが、栄光の実績を持っている人というのは、実績や成果がでたのは、自分のおかげであるという勘違いをしやすい。
そのため実はひとりで仕事をすすめる人が多くいます。
なぜそうなってしまうのでしょうか。
うまく部下を動かせないこともありますが、他部署との協力関係を作れないこともあります。
結果として自分ひとりがあくせく動いているのです。
この問題を解決するにはどうしたいいのかというと、部下や他部署をうまく巻き込むことが必要です。
何をすればいいのかを決めて、部下に指示や命令を出すことです。
つまり、いつまでに何をどのようにして、どれだけの分量を実行するのかを決める。
決めたらそれを伝えることだけのことです。
ただそれだけのことですが、それをしていません。
なぜしないかといえば、指示や命令事項を決められないからなのです。
自分が動いてはいけない
例えばトラブルが起きたとします。
「いま現場で機材トラブルが起きています。原因究明をしていますが、いつまでにわかるかメドがつきません。」
「それは大変だ。誰が現場に行っているんだ」
「◯◯さんです。手に負えない状況だといっています。」
「すぐに駆け付けられる者は誰かいないのか」
「いろいろな現場から向かっていますが、まだわかりません」
「わかった、とにかく一緒の現場にいこう」
現場にいくことはとても良いことです。
まず現場で状況をつかまなくてはいけません。
しかし、それは自分が動きだけのことです。
同時にやることがあります。
それがリーダーシップの発揮時です。
そのためには決断を早くしなければなりません。
部下を動かし、関係先をはじめ、上司の工場長や社長など決済権者へ根回しをしなければなりません。
故障の原因がわからない、解決のメドが立たないなど、緊急事態です。
たぶんこの上司は現場で状況をよく見て判断をしようとしたと思ったのでしょう。
しかしそれでは遅すぎることに気づかなければなりません。
追い込まれたときこそ、冷静に判断をすること
現場を見て、それから機械の修理がわかる機械メーカーの技術者に来てもらうのでは、確実に数時間、ヘタすれば半日以上ロスをする可能性があるということに気づかなければなりません。
それより部下からの報告を聞いた時に事態が現場で収束しないということが読めれば、冷静沈着に機械メーカーの修理担当者に連絡を入れて、すぐに来てもらうように手配することができるでしょう。
それと同時に工場長や社長など決済権者に根回しをしておくことが必要なのは、工場全体の生産数を修正したり、出荷の調整など自分がわからない部分について判断をしてもらいます。
全体の立場で考えると、電話での報告がキッカケとなり傷口が浅いうちに、
戦略的に数手先まで見越した対応を取ることができる。
では、先程のケースでどの様に対応するのが良かったのでしょうか。
「機械のトラブルで、解決のメドが立ちません。」
「そうか。分かった。私も現場に急行する。その前に応援態勢を整えよう。
まずは機械メーカーに連絡をとって、技術者をすぐに来てもらえるように手配してくれ。私は、現場に向かいながら、工場長や社長など関係者に連絡を入れて、一緒に対応するから。
まずはメーカーに連絡をいれてください。」
「はい、ではおねがいします。私は連絡を入れていつ来てもらえるか、再度報告します」
部下にできることは部下に指示を出して、部下を動かしましょう。
そのためには何をするべきかと考えようとしないで、先に考え、指示を出してください。
すなわち決断を早くするのです。そのためには、何をするべきか後で考えようとしないで、すぐに指示を出してください。
管理者は自分でなければでいないことをやるようにしましょう。
決断を早くするには!?同時並行でモノゴトを考える
決断を早くやろうと思うだけで、考える習慣が身につきます。
そして周囲を動かすリーダーシップが発揮できます。
決断を早くするためには、同時並行でモノゴトを考えることです。
先程の辞令では、機械のトラブルがあったとの報告を受けました。
そこで現場をこの目で確認しよう。
そのうえで何をすべきか判断しよう。
こう考えることは正しいことです。
このときに、同時並行でできることはないかと考えることが必要になります。
すると決断が早くなることにつながっていきます。
解決のメドが立たないと部下がいっているのですから、機械メーカーの専門技術者を呼ぶということは想像がツキます。
現場を見てからそれを判断するのではなく、部下からの報告の時点で自分たちの手に負えないことは判断できる。
そこで機械メーカーに対して至急くるように依頼をします。それを部下にやらせることにしましょう。
これが指示であり、部下を動かすことであり、リーダーシップの1つになるのです。
さらに会社全体を考えると、同時にできることはないかと考えます。
生産調整であり、出荷の修正などいろいろな問題が出てきます。
そうするとそれができる立場にいる人ということになるので、根回しが必要でしょう。
会社の規模にもよりますが、大企業であれば役員クラス、事業部長クラスとのリレーション、
中堅企業であれば工場長や社長になるわけです。
そこへは自分が電話をして、上司から指示を受けます。
まさに部下だけではなく、関係のメーカー技術者や上司までも動かしていくことです。
このように決断を早くすることで、リーダーシップを発揮できるのです。
そして次々と正しい対応を進めていくことができるようになります。
決断を早くすることで同時並行で考えることが身につきます。
部下に決断できることは部下にやらせて、自分の頭の中をフリーにしておくことが、次への必須事項と考えていくとうまくいくことになるでしょう。
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